冬、深まりて…。

今日は冬至、1年で夜が最も長い日。明日から畳の“目地”ひとつずつ、部屋の中に差し込む日の光が減っていき、徐々に春を迎える…と、小さい頃おふくろやおばあさんが言っていたことを思い出した。それくらい、昔の女性によっては手先足先が冷たくて、1日毎に春が近づくことがなによりも待ち遠しかったのだろう。全国的には昨年よりも冬の真っ盛り時期が訪れた感じで、日本海側は例年になく豪雪だとも聞いてます。ご苦労さまです。都内もすっかり紅葉を通り越えて落葉のピークも越えた感じ。寒風の中をバイクで走っていると、イチョウの落ち葉のラインダンスが走って行く前方に続いたりして、まさに“木枯らし”=“木を枯らす”ほどの冷たい風を四方八方から受けることとなってます。それでもバイクで走る気持ちが萎えないのはナゼだろうと、多少自分にも呆れながら走っています。

さて、なんだか勝手に解散して「ホントかよ」と思うような“良いコト”アピールの嵐が過ぎて慌ただしく行なわれた衆院総選挙も終わり、ふとその前におこった重大な事件のコトを忘れかけていたので、あらためて語っておこうかと思ったワケです……そう、高速道路トンネル天井崩落事故……コイツはイケナイ!! ヤバイ!!とか言ってる場合じゃないレベルの事故だと思うワケ。

どう、イケナイか?……まずビックリというかショックだったのは、30年あまり大した点検も補修をしてこなかったという事実。じつは中央道笹子トンネル上り線は、ここ2、3ヵ月の間に、僕もシバハラも何回かバイクで通っていた。30年間で3ヵ月=360ヵ月分の3ヵ月、1日24時間でいえばたった“12分”でしかない、つまり3ヵ月のうちに数回となると1日で言えばわずか数分の違いでしかないくらい、自分たちが遭っていた事故かもしれないということ。もちろん事故当日、数分の違いで助かったヒトビトもいたし、むしろ朝の交通量の少ない時間帯ながら不幸にも9人の方が命を落とされたわけでもあるのだが、僕ら的にはまったく“ヒトゴト”とは思えない事に感じて、かなり大きなショックを受けたのだ。

さらに、だ!! その事故原因を知って驚いた!!……いつもお世話になってるミッドナイト・バイクショップRAZA笹島さんとも話していたのだが……“コンクリートに直接ねじ込まれた金属のネジ”なんてモノに何の信頼感も持てない、ということだ。バイクやクルマを整備するコトに精通しているプロや、いつも自分のバイクを整備したり修理したりしているニンゲンは、金属と金属同士のネジの締まり具合・締め具合という感覚を持っているから、金属とコンクリートの相性なんてゼンゼン信用できないのだ。せめて、金属製の雌ネジ側を天井のコンクリートに埋め込んで固め、そこに天井板を吊るすための金具・ステーを金属製の雄ネジで締め上げて固定するならまだ理解できるが、コンクリに直接ねじ込んでたなんて論外だ。さらに言えば、天井板が1枚1トン、それをコンクリに直接ねじ込んだネジで固定した1本の金具が一体何枚支えていたというのだ!? 金具1本毎に左右1枚だとしても2トン!! 金具の間隔はどうも数メートル空いていた感じだから、1本で数枚数トンを支えていたと思うと、よく30年ももったものだと思うほどだ。通風用の仕切り天井なら何でもっと軽量な材料にしなかったのだ!! しかもそのあと全国的に点検をしたら、同じ構造のトンネルが数十カ所見つかり、さらに東京の首都高では違う構造(…それも力学的にさらに負担がかかるような構造)だが、ネジの折れや抜けが見つかったというから、もう空いた口が塞がらない、というか……正直言って、いま“日本の社会”そのものが“信用できない”というほどの不信感を抱いてしまうほどの“社会的大惨事”、パニックになりそうな一大事だと思うのだ。

全国で多くのヒトビトが安心して利用する公共物の安全性が、フタを開けてみれば、そんな程度のアマい発想と考えで出来上がっていて、社会の安全性や安心感がそれらの単なる“偶然性”でしか成り立っていないのか、と思えてきたのだ。発展著しい中国での、架橋崩落や超特急脱線事故を聞くと「やっぱりな」とか言って日本製の安全神話に安心感を覚えたヒトも多いと思うが、じつはそんなに大差ないのではないか?? 阪神大震災で高架橋が倒れたり、東日本大震災で大津波による大災害や原発事故までも経験したのに、再点検とか再調査の段階からコストをケチってアマい診断を出し、そんな診断に基づく補修工事や再構築事業でもまたアマい設計で低コスト高収益な公共工事をやらかすんじゃないかと……コンクリに金属のネジをねじ込む、ようなアホな発想を目の当たりにした今、ホントに“日本の社会”が信用できなくなった……それぐらいトンでもない事件・事故だったのだ、僕にとっては。もう、いい加減、まじめにやれよ、大人たちよ、オッサンたちよ、君たちよ、そして僕たちよ。“3さえ”主義(=自分さえ良ければ、今さえ良ければ、金さえ良ければ)を捨てて、もっとマジメにやろうぜ、ホントに。そうしないと、結局自分たちに手痛いしっぺ返しが返ってくるだけだ。ヤバイぜ、マジで。ご清聴(読)、ありがとうございました/YAS