■web版ストバイ
連載 “GT-KZ1000”
vol.3「エンジン完成〜慣らし順調!」
●取材協力:TR Company大原
前回シリンダーヘッドまでなんとか無事にのっかったKZ1000。いよいよ終盤。お次はカムシャフトの組み付け&バルブ・クリアランス調整……ですが、それぞれ4ヶ所、違う向きに山(カム)が付くカムシャフトは、当然バルブタイミングを決める重要パーツ。にも関わらず、いつものワルい癖でバラす時にどう付いていたかを確認することもなくポンポン外したもんだから、一体どの向きで組み付ければいいんだろう? と、じつはバラした時から心配していた部分。
……なんて素人の疑問は、もちろんサービスマニュアルで一発解決。日本語版のマニュアルも買っておいてよかった〜。
マニュアルによると……ポイントカバーを外しクランクシャフトを回して、自動進角装置の1/4側の“T”マークをタイミングマークに合わせる。つまり#1と#4のピストンが上死点。
まずは排気側のカムシャフトをチェーンに通し、スプロケットにある刻印(⇨)をシリンダヘッドの上面に合わせ、この刻印(⇨)と合った次のピンから数えて28番目のピンと吸気側スプロケットにある刻印(28⇧)を一致させ、吸気側のスプロケットにカムチェーンを掛ける……とのこと。よく出来てます、ホント。勝手に焦っていた自分が恥ずかしい。
中央のチェーンガイド・スプロケットを付け、クランクシャフトを一周させ、#1/#4ピストンが上死点の時に吸排気スプロケットの刻印(⇨と⇦)がそれぞれシリンダーヘッドの上面と一致していればバルブタイミングはOK。正しく装着されている印。
ガスケットも新品に交換しヘッドカバーまで無事装着! その勢いでマフラーも付け一気に完成が近づいてきた。ついでにイグニッションコイル&プラグコードも新品に交換したから余計に気持ちいい! 嬉しい〜。
少し気になっていた油面を確認しキャブを組み付け、エンジンオイルを投入し、いよいよエンジンON!! キュルキュル……ブォッブォッブォッ〜ブォ〜!! 「組み上げたエンジンを最初にかける時は、何回やっても嬉しいもんですよ」なんて、よくメカニックの方が話してますが、ホントそうですね。コレはほんとにめちゃめちゃ嬉しい!
キャブのトップカバーを外し同調を合わせたら、TR後藤さんが点火タイミングとオイル漏れをチェック。完成〜!!
というわけで、腰上オーバーホールしたKZ1000は、すっかり絶好調!! ずっとキャブが原因と思い込んでいたスロットル開け始めのグズつきもまるで解消し気持ちいいったらない!!
この気になっていた開け始めのグズつきはじつは納車当初からの悩みで、キャブをオーバーホールしても解決出来なかった部分。今回、最終的にプラグが被るほどのオイル上がりが発覚し腰上オーバーホールに至ったワケですが……結果的には、#1と#4シリンダーの錆びとそれによるオイル上がりが、見た目にプラグが被っていない状態の乗り始めた当初から悪さをしていたということ。
新車や新車に近い状態を知る…ことは、旧車ではなかなか難しいことですが、各部が正常に動いている好調な状態をまるで知らないままでは、「エンジンもキャブも40年以上前の部品だしなぁ」と、つい自分をごまかしてしまいがち。実際、僕自身も旧車だから…と、わずかな不調の原因探りを先延ばしにしていました。でも考えてもみれば、’77年のKZ1000はエンジンで言えばSRとほぼ同い年。「旧車だからこんなもんだよ」…なワケがあるはずない! これからはもっと慎重にオートバイを感じよう、なんて思ったのでした。
というわけで、まずは4000rpmを上限に約650マイル(約1000キロ)の慣らしをスタート。仕事にかこつけ、西へ東へ走っていたら1ヶ月で順調に1000キロ突破。「丁寧に慣らしをしていると、1000キロ、その次は5000キロくらいですかね? エンジンがどんどんスムーズに回り始めるのを感じますよ」TR後藤さんが言っていたその変化……明らかな違いとして感じるから驚きでした。「フリクションが減る……とはこのことか」と、1000キロに近づいてきた頃から実感出来たのは嬉しかったですね。走れば走るほど“シルキーさ”を増す4気筒エンジン、こんなに気持ちいいとは!!
「1000キロを超えたら500キロ走行毎に300〜500rpmずつ上限回転数を上げ、最低でも5000キロまでは慣らし運転」とはYAS流の慣らし。ところが1000ccもあると4000rpmを越えるとけっこうな速度なので、年明けから寒さを我慢しながら夜な夜な第三京浜通い。
さぁ、今夜もこれから出発です!
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