[SR500F.I.]初めてのヒューズ切れ。原因究明-4

配線が剥けてる!? 4ヶ月にわたりリークしたりしなかったり……悪さをしていた犯人をついに確保!!! でも、これは一体何だ?

4ヶ月にわたり悩まされてきたSRの「ヒューズ切れ」問題。走行中に突然ヒューズボックスの中の7.5AのEFIヒューズが飛んでしまうのですが、これまでに書いてきたとおり怪しそうな箇所の配線をチェックしたりガサゴソと触ったりしていると、なぜかヒューズは切れなくなり、おまけにそのまま1〜2週間走れてしまう……と思ったら、また前触れなく走行中に突然のエンジンストップ……原因はやはり同様のヒューズ切れ。4ヶ月の間、それを計4回繰り返した(400〜500キロも走れてしまうこともあった)……というトラブル。場合によっては1ヶ月くらい走り続けられるもんだから、つい原因追求が先延ばしになってしまっていたのです。これまでの模様は⇩からどうぞ。

■「初めてのヒューズ切れ」原因究明-1は→原因究明-1
■「初めてのヒューズ切れ」原因究明-2は→原因究明-2
■「初めてのヒューズ切れ」原因究明-3は→原因究明-3

7.5AのEFIヒューズが切れると、キーONにてフューエルポンプが作動しない(テールランプやウインカー、インジケーターランプ等は正常に点灯する)ため、フューエルポンプ系統で何かが起きてるハズだ!! と上記の配線図から原因究明を始めたのが前回までのブログ。


前回少し脱線しましたが、怪しい箇所のひとつだったメインスイッチに関しては、ツールドコルスさんにて配線の引き直しとともにキーシリンダー内部の修理とともにコンビネーションスイッチの接点の洗浄も終えました。


また、もうひとつの候補であるキルスイッチに関しても、TRカンパニーさんにてあらためて各接点の洗浄とともに配線もチェック。こちらも問題ありませんでした。

そして部品代も安くチェックしやすいフューエルポンプ・リレーも確認しましたが、こちらも問題なし(¥1,000程度の部品のため念のため交換)。当然、フレームアースも確認、洗浄しましたが、特別問題があるような錆や汚れ、配線の剥け等もありませんでした。また、過去に何度も自分で触ったヘッドライトケース内に収まる配線に関しては、被覆の剥けや内部での配線の切れも確認しましたが、これらも全て問題ありませんでした。

つまり、メインキー(配線の途中で導通が怪しい部分があったとはいえ、被覆の剥けはないためショートの原因とは考えにくい)、キルスイッチ、フューエルポンプリレー、フレームアース、そしてヘッドライトケースに収まる配線に関しては、全て今回のヒューズ切れの原因となりそうな部分はなかったのです。またフューエルポンプ系統の配線図から追いかけると、残るはメインハーネスとフューエルポンプですが、フューエルポンプは外したこともなければ、まだ故障話も聞いたことがない。メインハーネスに関しても、確認したヘッドライトケースに収まる部分以外は、フューエルポンプ同様触ったこともない。当然100%問題ないとは言い切れませんが、どうも考えにくいのが正直なトコロ。当然、作業の手間や高価な部品代を考えまだ疑いたくない気持ちもありました。




そして上記の作業を終え再度ヒューズを新品に取り替えキーONにすると、またも(やっぱり!?)ヒューズは切れずにエンジンは何事もなかったかのようにかかるのです。じゃあ原因はメインスイッチだったのか!? 汚れていたコンビネーション・スイッチの接点不良だったのか!? やっぱりどうにも腑に落ちない。


ここから僕は拙い知識と経験でさらに迷宮入りしてしまうですが、悩んだあげく怪しいと考えたのが、6年以上変えていないバッテリーとレクチファイア/レギュレーターでした。というのも、ヒューズが飛んだ4回は偶然かもしれませんが、いずれも回転数が5000rpm程度回っていた時で、SRで言えばぼちぼちの回転数…。

じつは以前乗っていたハーレーでレギュレーターがダメになった際、エンジンはかかりアイドリング時は正常なのに走り出してある程度回転が上がるとヘッドライトの電球が切れ(電球自体が破裂!!)エンジンもストップしてしまう。でもその後エンジンはまたかかる……そうした症状を繰り返していたトラブルを経験したことがあったのですが、今回のSRにその時の症状を重ねて考えてしまったのです。


レクチファイア/レギュレーター……SRでは現在レクチファイアとICレギュレーターが一体になっていますが、そもそもレクチファイアとはオルタネーターが発電した交流電気を直流にする役割。そしてレギュレーターは回転数により上下する電圧を整えバッテリーへの過充電を制御する役割。一体どのように制御しているのかな? と調べてみると、余剰分の電圧を熱に変換し放熱しているとのこと……(一体どんな電気部品がどういう構造にて“そうしたコト”を行なっているのか!? 電気関係はホントに疎いため、現在さらに詳しく勉強中です)。だからレギュレーターには空冷エンジンのシリンダーのような放熱フィンが付いているんですね、知りませんでした。つまりハーレーの時はレギュレーターが故障したせいで、発電量が増えた際に電圧を制御できずに高い電流が流れてしまっていたのでした。その経験から今回のヒューズ切れの原因もソレじゃないか!? と、原因が見つからない焦りから、少ない経験と拙い知識をもとに盲目的に疑ってしまったというワケです。

 

また、SRのレクチファイア/レギュレーターはFIモデル以降、搭載場所がサイドカバー内からクランクケース下に移動しています(サイドカバー内には新たにフューエルポンプ等を収めるために)。ということは、常に熱に晒されている!? 放熱する役割も持つレギュレーター にとっていいワケない!! と決めつけてしまったのでした。「修理は推理」とはよく言ったものですが、推理するニンゲンが確かな知識とともにあらゆる状況を俯瞰して見られる経験がないことには、一向にその推理は収束に向かいません。

 


やはり……というか後から考えると当然なのですが、TRカンパニーさんにてバッテリーとレクチファイア/レギュレーターをチェックしてもらいましたが、どちらも問題ありませんでした。(バッテリーは通常2年交換が推奨のためこれを機に新品に交換) そこでTRメカの後藤さんが「配線図を見せてもらえますか?」と。そこでハッとしたのです。フューエルポンプ系統の配線図ばかり見ていた僕は、恥ずかしながらこの時初めて全体の配線図を開いたのです。そしてくまなくチェックした後藤さんは「O2センサーの配線も繋がってますよね? O2センサーはどこにあるんですか?」と。

 


O2センサーは500cc化し、パワーコマンダーのサブコンを使用して以来キャンセルしているのですが、もうかれこれ4〜5年前の話。そういえばO2センサーと繋がっていたカプラーってどうしていたっけ? ……と、慌ててガソリンタンクを外します。通常エキパイの根元に付くO2センサーの配線はタンクマウントの下の辺りで繋がっているのですが僕のSRはキャンセルしている(繋げていない)。どこだ!?


これだ!! キャンセルし繋げていないカプラーがブラブラしないようにフレームとフレームの間に挟んでいたんだった!! そして引っ張り出すと……

あーー!!!! 被覆が溶けてる!! 剥けてる!!!


オイルタンクも兼ねるため通常よりも熱を持つSRのフレームに当たっていた部分の被覆が時間をかけて擦れながら溶けたのでしょうか!? 見事に銅線が顔を出していました。犯人はコイツだ!!

こちらはO2センサーをキャンセルする際に、外したカプラーに取り付けるパワーコマンダー専用のキャンセル用配線カプラー。

ついに発見した喜びとともに一つの疑問が……それは、これだけ見事に被覆が剥けてしまっているのに、どうして短絡したりしなかったりを繰り返したのか!? そして被覆が剥けた部分が触れていたと思われる部分のフレームを確認すると、塗膜は一切剥げていないのです。つまり考えられるのは、水や湿気を帯びたことによる短絡、もしくは目に見えない巣穴等があり、振動によりその部分と触れたことによる短絡、……いずれにせよ、限りなく核心に近い犯人を捕らえました。


ビニールテープにて徹底的に保護した後、熱を持つフレームとは接触しないように収納しました。

 

繰り返しますが……「修理は推理」とは言いますが、推理するニンゲンが確かな知識とともにあらゆる状況を俯瞰して見られる経験がないことには、一向にその推理は収束に向かわない。最初の間違いは、全体の配線図をしっかり確認しなかったこと。正直、配線図の見方もよく分かっていなかったため、苦手意識からフューエルポンプが動かない→マニュアルのトラブルシューティング……と盲目的に進んでしまったことが原因でした。そして大した知識もないクセにその次に僕が疑ったのは、あろうことか搭載位置が変更されたレギュレーター……旧車の整備において、現代の技術で改良・改善されたパーツ等を使う話なら分かりますが、多くの技術者の方達が時間をかけて実験や検証を繰り返したメーカーの作りに対し、原因が分からず悩んでいたからとはいえ、知ったかぶりの知識で疑うのはホントお門違い。少なくともその前にやる事はたくさんありました……反省。


そして4ヶ月ぶりに安心と安定を取り戻したSR。大げさに長々と引っ張ったわりに、ありがちな被覆剥けによる短絡でしたが、結果的に各部の洗浄やメンテナンス、そしてメインキーに関しては修理・改善することもできたのでヨシとします。何よりトラブルがあった際の考える順序や考え方が勉強になりました!! フタを開けてみれば初歩的な確認ミスですが、反面教師的に参考にしてもらえれば幸いです。


修理から約3週間……もう大丈夫でしょう!! というわけで、明日から3日間、信州での撮影ツーに向けて外装を赤に変更。ほんとSRにはオートバイのことだけじゃなく勉強させられます。まさにAUTO-BY MAKES A MANですね。