[SR500F.I.]メインスタンドのメンテナンス。


じつは昨年の夏頃から気になっていた異音がありました。それはメインスタンドから車体を下ろした後、スタンドがマフラーに付く(ゴム)ストッパーに当たる時に聞こえる「カンッ」という硬質な金属音。


メインスタンドを使用していない時は、こうしてスタンドの先端とマフラーに付くストッパーが当たるようになっているため、当然、正常な状態では金属音はしません。ところが半年くらい前からそうっとスタンドから足を離しても「カンッ」と金属音が聞こえるようになっていたため、ストッパー以外の部分と当たっているのかな? と、覗き込み調べましたが、スタンドはストッパー以外、どこにも触れている様子はありません。

先日、普段からメンテナンスでお世話になっているクラシックサイクルトーキョーさんにお邪魔した時に相談すると「旧車に多い症状で、メインスタンドの取り付け部が磨耗しガタや音が出ることはよくある」とのこと。

磨耗している可能性があるのは、取り付けボルトか、スタンドの付け根のボルトが通る穴か、フレームの取り付け穴…。

2010年式の僕のSRは旧車じゃないし……と思いつつも、よくよく考えれば10年間、通勤に取材にツーリングと走りっぱなしで走行距離はそろそろ9万5000キロ。その間、しょっちゅうメインスタンドも多用していたことを考えると、旧車のように磨耗/消耗していてもおかしくない!? と調べてみることにしたのです。

磨耗している可能性があるのは、取り付けボルトか、スタンドの付け根のボルトが通る穴か、フレームの取り付け穴。ボルトだけの磨耗であれば作業的にも金銭的にも助かるんだけどなぁ…。


メインスタンドはアタマが17ミリのボルト&セルフロックナットを2本緩めれば簡単に外れます。気になったのは片方のナットがやや緩んでいたこと。セルフロックナットのおかげで外れこそしませんでしたが、いつから緩んでいたのか!? と考えると……この“緩み”が原因で長年の走行振動により、どこかが磨耗してしまったのかもしれません。試しにスタンド自体を外す前に締め直してみましたが、やはり金属音は鳴ります。ガタが出ているのかな? と、スタンドを手で上下左右に動かしみましたが、気になるガタらしき動きはありませんでした。


10年間、放ったらかしでノーメンテだったため少し覚悟していましたが、スタンド側にわずかな錆は出ていたもののスタンド側もフレーム側も、ともに致命的な磨耗は見当たりませんでした。

 



こちらが外した2本のボルト。写真じゃ分かりづらいですが、どちらもボルトのアタマ側のフレームと接する部分が指で触っても段差がはっきり分かるくらい磨耗してました。これが犯人ならいいんですが…。ちなみに……上のボルトが進行方向を向いて“左側”で、下のボルトが“右側”。明らかに右側のボルトの方が錆びています。そもそも雨天時の走行などで水はしょっちゅうかかる部分。左側のボルト周辺にはチェーンオイルが飛び散ったオイルカスがかなり付着していた分、水分の侵入を防げたのかもしれません。たまに取り付け部にグリスでも付けておいてもいいかもしれませんね。

こちらは新品ボルト。ボルトは安いのでどこが原因でも交換しようと注文していました。


新品ボルトと比べるとやはりボルトの磨耗が原因かもしれません。走行中の水分や湿気を少しでも防げればとボルトにはしっかりグリスアップ。


取り付け順序は、車体とスタンドを繋ぐスプリングをそれぞれ引っ掛けてから、左右それぞれのボルトを通していきます。初めての作業だったので、最初少し戸惑いましたが、落ち着いて片方ずつ穴位置を合わせていくと意外とすんなりボルトは通ります。

 


そして取り付け完了。ボルト交換前も明らかなガタがあったワケじゃないので、見た目には何も変わりませんが、無事に「カンッ」という金属音は消え、ゴムストッパーと当たる「トンッ」という静かな音に戻りました。スタンドがストッパーと当たる振動でわずかにボルトが動いてしまっていたのでしょうか!? いずれにせよ、メインスタンド側の磨耗であればスタンド交換で¥8,360(新品)、フレーム側なら肉盛りして溶接してと大掛かりな作業……今回はボルト2本¥700程度で済んで助かりました。


金属音がするまで、まったく気にしたことがなかったメインスタンドですが、たまには増し締めチェックとともにボルトを確認 & メンテ or 交換した方が、長い目でお財布に優しく乗り続けられそうですね。