[SR500F.I.]キャンプツーリングでの積載のテーマ……を、ちょっと楽しんでみました。その2


キャンプツーリングでの積載のテーマ……その1 の続き。


ハイ、前回はどうでもいい断酒話で終わってしまいましたが本題の積載。なんだいつもどおりじゃん……と思うなかれ。まぁタンクバッグにサイドバッグはいつもの我が〈ALLDAYS ROADSIDE™️〉シリーズですが、ずっと考えていたイメージ(追求&発展途上中)とはリアシート上に積んだ2つのスタッフサック……


ちょっと前に近所の古着屋で見つけた’80〜’90sのEDDIE BAUERとL.L. BEANのスタッフサック。往年のダウンジャケットやマウンテンパーカを想像させるオールドスクールなアウトドアカラーがもう最高で、見つけた時に嬉しくなり即買いしたのですが、以前から考えていた積載のイメージとは……「’70〜’80年代のアメリカで日本製オートバイでツーリングする若者」


アウトドアブームの昨今、クルマのカラーしかり、オートバイのパッキングも軍モノ系を筆頭に、カーキやサンドベージュにグレー系、そして定番のブラックと……落ち着いたカラーでまとめるのが主流。ですが、同じアウトドアブームでもひと昔前の“明るいアウトドア”カラーを積んでいる方が当時のアメリカっぽいなぁ……なんて妄想からスタートしました。きっかけは当時の古着が好きだったり、GRATEFUL DEADが好きだったり。初期型テイストのSRしかり、1977年KZ1000しかり、以前から’70〜’80年代のアメリカの雰囲気がなんだか好きなんですよね。


とはいえ、自分たちで作ってるサイドバッグもタンクバッグも軍モノ系カーキというわけで、現在はまだ追求途上中ですが、リアシートにオールドスクールな青と赤が並ぶ“明るいアウトドアカラー”はやっぱり狙いどおり良い感じ……と自己満足していたのでした。むしろサイドバッグとタンクバッグはブラックで統一した方がよりアウトドアカラーが映えるのかもしれませんね。

なんて、まぁ遊びの延長で!? テーマを決めた積載もまだまだ楽しんでいこうと思います。


そうした意味でも、大人のBIKE CAMP VOL.4の〈旅のTPO〉は、脳内思考を刺激してくれる企画ですよ!!

 


おまけ

いつもちょっと苦労するベーコンタワー。いい方法はないものか……。

 

[SR500F.I.]SR3台でゆくスポーツ・キャンプツーリング。1978 SR500 & 1979 SR400SP & 2010 SR500FI


毎年9月に発売している『大人のBIKE CAMP』。2019年から雑誌は単発もののムックを年に数回制作するようなスタイルになりましたが、この『大人のBIKE CAMP』はその中でももっとも多いシリーズもので、今年で4冊目。7月下旬からぼちぼち取材に制作にと忙しくなりブログもなかなか更新できていませんでしたが、取材を通じて知り合ったSR乗りのOさんに誘ってもらい、お盆明けの週末にSR3台でキャンプツーリングへと行ってきました。

 

’79年のSR400SPに乗るOさんのSRの師匠でもあるTさんは’78年の500乗り。なんとまぁ最初期500とめったに見かけない’79年の”400″SPという、SR好きにはたまらない豪華な2台とのツーリングでした。じつは身近にこうしたノーマルルックのSRに乗る仲間がいないため、意外と初だった純粋なSRだけでのツーリング。これまで同じオートバイばかりで走ることにはあまり興味ありませんでしたがいいもんですね。

 

何がいいって、いつも以上にSRの単気筒らしさを目からも耳からも味わえること。で、これまたこの2台のSRがまぁ速い。クネクネ道へ入ると颯爽といいペースで走るんです。僕も自分なりにはSRでの峠道はそれなりの!? 自信をもっていましたが、いやぁ速い速い。

これまでにも全国でいろいろなオートバイ乗りの人たちと取材がてら一緒に走ってきましたが、その中でも指折りのペース。結果、カメラも忘れてコーナーが迫るたびに減速からリーンにスロットルONまで超真剣。でもそれが気持ちよかった。

前を走る2台のSRが、減速もそこそこにパタッパタッと寝ていく軽快なコーナリング……を見ながら「SR、やっぱりスリムでいいねぇ」なんて気持ちになりながら自分もコーナリング。いやぁ夢のような時間でした。

 


で、無事にキャンプ場に到着して設営。狙ったワケじゃありませんが、きれいな赤・青・緑のテントが並びました。

Tさんは新調したテント、Oさんは夜中の雨予報に備え超久々に引っ張り出してきてダンロップテント、僕は毎度おなじみなムーンライトテント。いい眺めです。

その後は延々とバイク談義にSR談義。これがまた濃い濃いハナシばかり。

続く。

 

僕たちは“SR”をナメていた!!!???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し長いハナシになるとは思いますが、我慢してお読みください。

ヤマハ“SR400/500”といえば、じつは誰もが知るような輝かしい実績・経歴があるわけじゃないので、あまり重要視されずにきたオートバイです。でも、この“SR”に乗った経験を持つヒトは想像以上に多く、その大半は若い頃のもので、多くの人々の人生の通過点を担ってきた機種でもあります。

実際に、なんだかんだ40年を超える年月も生産され続けた“同一エンジンの単一機種”は、世界を見回してもSRの他になく、つまりギネスブック級モデルなんです(…よく考えられるメーカーや機種に、ハーレーダビッドソンとホンダ・カブが挙げられますが、大抵は20年ほどで次型に進化しているので、40年にもわたる同一エンジンの機種はないのです/僕調べ)。そのことに、当のヤマハさんも重要視しないできたようです。

じつは、僕がオートバイに本格的に乗り出した’80年(…SR400/500の発売は’78年)はちょうど浪人生時代で、新車のSR400SPに乗り出した同級生がお兄さんに見えたものでした。その頃から、SRのブリティッシュカスタムブームが始まり、僕もSRはそのテのオートバイだと思ってました。

その一方で、’80年代に入ると急激に人気を博した“ロードレースブーム”のオマケのようなアマチュアレースで、SRを中心にした“シングルレース”の人気も高まり、選手権ではレースメカニックだった僕も中古のSRで参戦するようになり、SRに対するイメージが大きく変わって、単気筒バイクのスポーツ性を楽しく思えてきたのです。

しばらくして、’85年に同社よりSRX-6(600cc)が発売となり、僕もコレが乗りたいばかりにメンドーな限定解除試験を経て、60回5年ローンで新車を買ったものでした。このSRXシリーズも一世を風靡したモデルで、’90年にはさらにスポーツ性を高めた第2バージョンまで登場したのに、それも数年と短命だったわけです。その間もSR400/500は作り続けられ、廃盤会議に何度か出されたそうだが何とか持ち堪え、2021年まで43年間生産(…国内販売は終了したが、東南アジア向け輸出モデルとして生産は継続中)。

やがて’90年代の半ばから、SRに別のカスタムブーム……トラッカー&チョッパーなどのアメリカンテイストカスタムの時代が到来。この時点で、すでに20年の歳月が流れているだけでも十分に驚異なのです。ところが、そんなトレンドも10年足らず、回帰志向がいつしか広がり今は“純正主義”ならぬカスタムをしない、ノーマルのフォルムが愛されるようになりました。

つまりSR400/500は、発売当初から20年ほど、英国ビンテージテイストのカスタムが主流に推移して、途中からトラッカー&チョッパーというアメリカンテイストカスタムが加わり、最近の純正主義とて“カスタムをしないというカスタム”とまで言われるほどになり、何世代ものユーザーとともに(…を巻き込んで)、台湾や東南アジア方面にまでその影響力を発揮している驚異的なモデルでもありますが、その40年あまりの歴史の中で“本当はどんなオートバイなのか?”というSRの正体を、ユーザーもギョーカイもメーカーもメディアもついぞ語ることもなくきたオートバイでもあるのです……誰もが知っていながら、何者か知らない……まさに月○仮面のようです(昭和すぎました)。

さて、本題です。今回ウチのシバハラが渾身の思いで編集制作しました“大人のSR vol.2”ですが、こうした40年もの間、ユーザーもギョーカイもメディアも誰一人切り込んだことのないトクダネで溢れています。そして、その正体の“端緒”を紹介しています。さらにいえば、そうした曖昧な正体だったからこそ、SRに触れたヒトは皆つねに正体をハッキリさせ納得するべく、さまざまなカスタムを与えて納得しようとしてきたようにも思えるのです。

ネタバレがコワイですが、2つだけヒントを出しておきましょう。

そのひとつは“オフロード車をベースにした”ことに起因しています……余談ですが、国産車の中型以上の単気筒モデルは、9割以上がオフロード車用エンジンをベースにしたか流用で作られています。僕の記憶では、オンロードモデル向けに開発されたエンジンはカワサキ・エストレヤとホンダ・新GB350だけのはずです(…’80年代のGBシリーズはすべてオフ車流用)。このこと(=オフ車向け)がエンジンフィーリングばかりでなく、フレーム形状にも多大な影響を与えます。SRも同様で、オフロードモデルXT500をベースにしていることが、その後の40年の歴史を作ったのかもしれません。結構、重要なポイントなんです。

ふたつめは“クランクシャフトの秘密”……ユーザーやギョーカイの間では、重いだの軽いだの、いろいろ取り沙汰されてきましたが、Uクランク植澤さんの協力のもとクランクを分解してそのフラホイール部の内側の“ウエイトの付け方”を明らかにしたことは40年間ありませんでした。そして、植澤理論を基にSR400クランクを見ていきますと、XT500からの流用とはいえ、明らかにSR400独自のコンセプトに基づく工夫が施されていることがわかってきました。

そう思うと、ユーザーやギョーカイは目の前にあるクランクを吟味せず、いかに外観ばかりに目がいき勝手な迷信ばかりを作って踊ってきたのか……でも、そのおかげでギネス級の歴史が続いたようにも思えますし、その歴史の陰で頑なに口外しなかった(…口外しても理解できるヒトもいなかった)という、ヤマハの開発技術者の“想い”を垣間見た気がしました。

そして最後に、僕が言いたかったことは、こうした“SR400/500の分析と考察”によって、SR400は500のスケールダウンではなく、独自のコンセプトで開発されたモデルであると知ることで、いまSR400に乗るユーザーに誇りと自信を持っていただきたいと。さらには、過去にはSRに触れた経験があるという方や今まで全く触れたことのない方でも、この分析と考察の方法論で自分のオートバイや他のモデルを考えていくと、さまざまなことが浮かび上がってくる、という“大人のオートバイ乗り”の視点や思考を知っていただきたい、と考えた次第です。

それくらい歴史に残る1冊だ、と考えております。

ストリートバイカーズ 安田 尚令

 

⚫サンエイムック「大人のSR vol.2」

1978-2021  SR43年の再探求。
¥1,500+TAX
5月23日(火)発売。

 

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