暖かくなってからはイイ感じのWWW.COM-その3

“駐車お断り”とあるんですが、セブンの向かいの自転車屋さんが閉店してから&わずかな時間ゆえに停めちゃうんですが、何しろセブンの照明が良い感じで照らし出すんで、気に入ってます(自転車屋さん、ごめんなさい)

てゆーコトで、5月以降は順調&快適に走ってくれた僕のW3。そもそも一昨年からのクランク焼き付き修理&全面O/H&ピストン抱き付き修理、マキトラ化を経て1年ほど完調に走り、今年初めからオイル滲み&オイル漏れを、修理箇所の精度アップと徹底した接着によって完全に防ぎ切った感のあるW3は、気温変化に応じた念入りなキャブ調整によって、始動性も走行感も申し分なく、2度の関西方面取材も無難にこなし、“もう普通の市販車のように乗れるなぁ…”と安心感も広がっていた。

が、ある暑い日の夕方の帰り道で、タペットがやたらカチカチ音を立て出した。「おや?」と思い、“そういえば、オイル漏れに気をとられて、タペット調整を1回しかしてないなぁ”……シリンダーヘッドやロッカーケースを外して、新たなガスケットを使って組み直したときは、その新品ガスケットが締め付けトルクによって“ツブれて”いくにしたがって、タペットクリアランスが減少していくので、タペット調整を数回しなくてはならなくなる……じつはこの部分にも、そもそもギモンが隠れているのだ。

なにしろ昔はコレが苦手だったけど、W3でいっぱいするようになったらわりと平気になり、そして100分の1の違いまで調整できるようになってきました。

タペットクリアランスとは、バルブステムのアタマと、ロッカーアームなどバルブを押し下げる部分との隙間のコト。通常、その隙間が開いてきてタペット(もしくはタペット調整アジャスター)とバルブステムヘッドの間でカチカチ音が出てくる。よく街中であまり整備してないオートバイが大きなカチカチ音を鳴らしながら走ってる、アノ状態だ。なので、その隙間(の距離)をサービスマニュアルにある規定値に調整するのだが、よくあるOHC(オーバヘッドカム)式の場合は、熱膨張や長時間仕様での摩耗も考慮して、キツめ(狭め)にするのが常識なのだが、OHV(オーバーヘッドバルブ)の場合は逆にユルめ(広め)にするのが“常識”でもある。ナゼか?……OHCでは、新品ガスケットがツブれてもカムチェーンがユルむだけで、バルブ駆動には影響を及ぼさない、だけどOHVとなると、バルブ駆動のためのプッシュロッドの長さは大して変化しないので、新品ガスケットがツブれる分だけプッシュロッドがロッカーアームを突き上げて、タペットクリアランスが減少していくコトになる、しかも、ロッカーアームを突き上げ、タペットクリアランスがなくなると、バルブが閉まり切らずに圧縮も抜けてしまい、パワーダウンどころがエンジンがかからない状態になってしまうのだ。だから、OHCとは反対で、OHVの広めのタペ調は重要になるのだ。

そんなこともあろうかと、僕は完全に組み上げる前に、シリンダーヘッドだけで数回+ロッカーケースを載せてさらに数回増し締めをして、各ガスケットをツブし切ったところで、マフラーを付けたりして組み上げを完了することにしてるのだが、やっぱりエンジンに火が入り、全体に熱が行き渡ることを繰り返している=何回も走ることでさらにわずかにツブれる分がある……ので、だいぶ走った後でも必ず1〜2回はタペ調をしなければならない…コトは分かっていた。

昔から知るヒトぞ知る定番・信越シリコンKE45T、通称“ケーイー”。耐熱耐油性抜群&硬化状態もなかなかですが、タペットカバーには強すぎました。

…なのにだ。僕はゼッタイ漏れるなよ、とかなり強力で高耐熱性&耐久性のシリコン接着剤、信越シリコンKE45を使ってしまった!!……ので、ロッカーカバーが4つのロングナットをとっても、ロッカーケースから剥がれる気配がまるでないのだ。マイナスドライバーでコジってもかなりのチカラが要りそうで、合わせ面にキズを付けること必至だ。どーしよ……そんなときに、W1工房厚木基地の関根師匠が「ガスケット剥がしにはこれがイチバン!」と言っていた“OLFAアートナイフプロ”を思い出した。

替え刃3種付き。スクレッパーとしてもかなり使えます。

付属の平刃(ノミのようなカタチ)に付け替えて、通常は合わせ面にこびりついたガスケットカスをこそげ落とすのに便利な道具なのだが、刃の厚みもガスケット紙に近いから“コイツを合わせ面に徐々に打ち込んで、ガスケットそのものを中に落とし込んでしまえばイイかも…”と。ロッカーカバーの合わせ面の、ガスケットの厚み分、わずかに空いている隙間に、平刃のアートナイフをあてて、柄のケツを小さなハンマーでコツコツ叩いてみると、スムーズに入っていく!!!! 付け根までスッポリ入ったら、刃の幅分だけ隣りに移して同じようにやるとこれまたスムーズに入っていく。こりゃ成功の兆し! 全体の半分以上を落とし込むと、ロッカーカバーもカタカタしてきて手で簡単に取れました。中に落ちてたガスケットのカスを丁寧に取り除き、ようやくタペ調です。

タペ調後半戦はまた次回。じつはそこで大きな発見をしたんです!!

夏の準備は万全ですか?僕はストバイバッグ・フル装備で1週間くらいのロングツーもバッチリです!……そりゃ、発売元だからアタリマエか。そーでなきゃ信頼性も上がりませんよね。

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