新刊[MEGURO 100-メグロとWとカワサキを巡る100年の物語]プレビュー-③ 発売


実用/商用どちらにおいても
1950年代の日本で多くの人々に喜ばれたメグロのオートバイ。その理由としてメインで語られていること——ユーザー視点で語られていること——は、「低速が粘るエンジン特性」と「頑丈な車体」ですが、じつはそれと同じくらい……いやそれ以上に重要なポイントは、1950年代中盤からメグロが研究・開発を進めた重心位置とキャスター・トレールの追求でした。

今でこそスポーツモデルやスタンダードなネイキッドモデル、はたまたクルーザーモデルにおける平均的なキャスター・トレール量のデータはありますが、当時はまだまだ英車ですらメーカーにより数値が異なっていた時代。その理由は、Fガーター+RリジッドからFテレスコ+Rプランジャー→スイングアームと……サスペンションの大きな進化による過渡期だったこと。しかしながら当時の資料を読み返していると、1950年代の日本で専門の工業大学とともに重心位置とキャスター・トレールを積極的に研究していたのはどうやら目黒製作所だけ。しかも国の補助も受けながらの本格的な研究だったそうです。

写真のメグロは、珍しい350ccY2型レックスというモデル。1954年からスタートした250ccの上級モデルY型の2代目で、ちょうどこのモデル辺りから重心位置やキャスター・トレールもメグロ・オリジナルの数値が反映された頃だったそうです。

重心位置やキャスター・トレールというのは、知識をつけ、積極的にオートバイを知ろうとしないと、なかなかその違いを感じにくいものですが……難しい話はさておき、1950年代の日本に何十社とあったオートバイメーカーの中で、なぜメグロがそれほど人気があったのか!? その理由はエンジン特性や頑丈さだけではない……ということ。

そんな話もできるこのY2型レックスですが、今回ページ数の関係で本誌『MEGURO 100』からは漏れております。那須烏山の山あげ会館に展示されている車両ですので、ご覧になりたい方はツーリングがてらにどうぞ。

#meguro100