[SR500F.I.]久しぶりのパンク修理。ずいぶん釘を踏まなくなったと思ったのに。


15年くらい前までは路肩を走ると釘をひろいやすい……なんて話を聞いたり、実際に数年に一回くらい釘をひろってパンクすることもありましたが、ここ10年くらい? 道路の清掃状況が変わったのか、そもそも釘が落ちていることが減ったのか、釘でパンクすることも、釘でのパンク話もあまり聞かなかったのに……どうやら先週の金曜日に帰り道のどこかでやられました。


というわけで、ハイエースに積み込み編集部でパンク修理。釘を抜いてみると、あまり見たことがない短いスクリュータイプ。オートバイの後輪パンクは、前輪が蹴飛ばした釘を後輪が踏みつけることでパンクする……なんてよく言いますが、前輪に蹴飛ばされた釘が、ちょうど真後ろに飛び、なおかつ先端が後輪トレッド側に向いている瞬間に後輪が釘を踏まなければなかなか刺さらないように思うのですが、なんだかこの釘、オートバイのパンクにおあつらえ向きのようにも見えてきます。どこで踏んだかわかりませんが、パンクに気がつかず家まで帰れたのが不幸中の幸いでした。


車体からホイールを外したら、チューブのムシを外し、完全に空気を抜いた後に足で踏みつけてビードを落とします。真冬でゴムも硬いだろうし落ちなかったらイヤだなぁ……もし落ちなかったらガードレールとジャッキを使う昭和作戦!? なんて心配してましたが、ノーマルK300、意外とあっさり落ちてくれました。


それこそパンク修理は10年以上ぶり。なんだか楽しみです。が、片側とはいえリムを傷つけずにタイヤを外す自信はなかったので、Amazonで700円ちょっとだったデイトナ製のリムプロテクターを購入。タイヤレバーはYASさんが30年以上使っているモノですが、先端の湾曲具合が絶妙で久しぶりの作業でもスムーズに外すことができました。今さらながらリムプロテクター良いですね。傷の心配がないだけで、ずいぶん作業性がUPしました。とはいえ夢中でやってましたので写真はありません。


外したチューブをチェックすると数カ所に傷。薄めた洗剤でチェックすると、穴は小さそうでしたが2箇所から漏れていました。



パッチを貼る部分を紙やすりで荒く研ぎます。ちょうどリブが立っている部分だったので平滑になるまで丁寧に。


ゴムのりを薄く塗り広げたら2〜3分(少し乾くまで)待ちます。要はG17系のボンドと同じで少し乾いた状態になってから接着するタイプ。「昔は自転車屋のオヤジがこのタイミングで必ずタバコに火をつけるんだよ、さっさと作業してくれよって思ってたけど必要な待ち時間だったんだよ」なんて、20年近く前のフジロック駐輪場でパンク修理をしているYASさんが得意げに喋っていた話を思い出しながら、タバコは吸わないのでコーヒーを飲んでしばし休憩。パッチを貼ったらタイヤレバーの後端を使い圧着。しかしタイヤレバーってよくできてますね。


約10年ぶり!? の作業にしては上出来。バケツでの漏れチェックも無事にクリアしました。


リムにチューブ&タイヤをはめ車体に組み付けて完成。しかし、タイヤの脱着以上にチューブのバルブをリム穴に通すのが相変わらず苦手。手が痛すぎてかないません。


またハイエースに積んで家まで帰るのでミラーは外しています。


パンク修理ついてでタイヤを間近でチェックして気づいたのが摩耗具合。中央部分がもう少しでスリップサインがでる頃……な状態でしたが、走行距離は3000kmちょっと。以前K300を付けていたときも減りが早いなぁと思っていましたが、走り方もあるとはいえ3000キロ程度でこれはちょっと早過ぎません!?

 

 

[KZ1000]4気筒1000ccといえども“軽快”に動かしたいワケで。その1

2018年1月にアメリカから到着したKZ1000。当初ガソリンタンクは細身なLTD用でシートカウルはZ1タイプ、そしてサイドカバーはない状態。そのためか、いわゆるZのイメージよりもずいぶん軽快な印象でした。

2018年1月にアメリカから到着した1977年のKZ1000。なにしろ初めての旧車、初めての4気筒、初めてのカワサキZ……というわけで、最初の1年は調子が良いかどうか? もよく分からなまま何度もキャブ調整を繰り返し、挙句、腰上オーバーホールと……旧車を手に入れた多くヒトが通る(!?) 道をしっかりと辿りました。丸ごとショップにお願いすればスムーズに進んだのでしょうが、おかげで時間はかかりましたが純正VMキャブレターからエンジンまで……ある程度仕組みと構造を理解することができました。

旧車の世界では納車後の半年〜1年間くらいを“膿出し”なんて表現をするヒトもいますが、意外とオーナー(ライダー)の膿出し期間でもあったりしますよね。旧車の扱い方、乗り方がわかっていない結果、ライダーのせいで調子を崩してしまう……なんてこともザラです。僕も思い当たるフシはいくつもありました(笑)

陸運局での素人による初めての新規登録……書類の不備等、当然1回じゃ済みません。

アメリカから到着後、スロットルの開け始めでグズつく……とキャブを外しジェット類を清掃。なんとかなるだろうとバラしたはいいけど、ジェットニードル&スライドバルブの脱着もしているのに同調も取らない始末。なんせこれまで“同調”とは無縁のシングルキャブのH-DとインジェクションSRでしたからね。これまで何度キャブの脱着をしたかわかりませんが、おかげでスムーズにキャブレターのOHができるまでになりました(笑)



さて、こちらはKZ1000のクランクシャフト。900ccだったZ1からの大きな変更点は100cc+αの排気量UP以上に、約2kgほど重たくなったクランクの重量でもありました。クランクシャフト自体が重たくなったことで、よりトルクフルになり低中速では扱いやすいZになった上に、高速巡航性能も飛躍的にUPしたワケですが、これまでH-DとSR、他にはオフローダーしか乗ってこなかった僕にとっては、その魅力以上に“ある違和感”がありました。それは直列4気筒エンジンの“横に長い”=“幅の広い”クランクシャフトが感じさせる鈍重さ

 


オートバイの中でもっとも重たいパーツはエンジン。そのなかでも重たいのは当然クランクシャフトです。ボア×ストロークにフライホイールやバランサーの形状、そして重量など……“どんなクランクシャフトか”!? で、そのエンジンのフィーリングは大きく変わりますが、クランクシャフトが車体やハンドリングに与える影響もこれほど大きかったのか!? とは、KZ1000に乗りあらためて驚かされたことでした。


[左]がYAMAHA SR500のクランク。[右]がH-D ショベルヘッド(S&S)のクランク。

というのも、これまで乗ってきた単気筒のSRは、当然クランクシャフトの幅はスリム。H-DもVツインのため“横幅=長さ”という意味ではシングルと同様にスリムです。


この写真はKZ1000のクランクシャフトとエストレヤ(250cc)のクランクシャフトを並べた写真。注目して欲しいのはクランクシャフトの幅=長さの違い。この時は、KZの1気筒=約250ccということで同じカワサキのエストレヤのクランクシャフトと撮りましたが、“クランクシャフトの長さ”という意味では、SRもVツインハーレーもエストレヤとさほど変わりません。

 


こちらはおじさん世代にはおなじみの“地球ゴマ”。軸に付く円盤が回転することで、外からチカラを加えないかぎり“回転方向に安定する”=“一定の姿勢を保とうとする”ジャイロ効果(慣性力)を手軽に体感できる、いわゆる「地球が自転により安定しているのはこーゆーことじゃないか!?」的な発想から生まれた昔ながらの玩具。

そんな地球ゴマが編集部に常備してある理由は、クランクシャフトの回転によるジャイロ効果を知るためです。写真のように、両端を指で押さえ円盤を回転させると、回転方向(オートバイの進行方向)に対して“そのままの姿勢を保とう”とする安定感を感じるとともに、円盤を左右(円盤に対して90度方向)へ傾けようとすると、それに対しては強い抵抗も感じるのです。

つまり、気筒数に関わらずオートバイの中でもっとも重たいクランクシャフトが回転していると、走行中はそれだけで進行方向への安定成分を発揮しているということ。当然、回転スピードが速くなればなるほど、そしてクランク(=地球ゴマの円盤)が重たければ重たいほど安定成分は増していきます。

では、回転するだけで進行方向に対して安定成分を発揮するクランク(=地球ゴマの円盤)が、横に幅広くなったら(=地球ゴマの円盤が4枚になったら)その安定成分はどうなるのか!? もうおわかりのとおり、その分、安定成分は増すことになります。いわゆる「やじろべえの腕が長ければ長いほど、やじろべえは倒れにくくなる」と同じ。

この安定成分は、直進安定性やオートバイそのものの安定感にも寄与するワケですが、一方でオートバイを左右に傾けようと思うとその安定成分がジャマをするのです。そこでメーカーはこの安定感と軽快感のバランスを追求し、エンジンを積む位置を数ミリ単位で調整したりもするわけです。たとえば同じ2気筒エンジンでも並列、V型、L型、水平対向等、さまざまな構造があるのも、そのオートバイにおける安定感と軽快感のバランスにおいて何が最適かを探っているから……ともいえるのです。当然他の要素もありますが……。


直列4気筒1000ccエンジンのKZ1000。当然、カワサキもZ1開発時からスポーツ性とツーリングバイクとしての魅力を両立させるために、エンジンだけじゃなく車体に関しても試行錯誤をしてきました。今となっては40年以上前の旧車なので、当時のZらしさをそのまま味わうことも旧車ならではの楽しみ方ですが、SRやH-Dに乗ってきた僕としては「もうちょっとでいいから」軽くヒラヒラと動かせるKZ1000にしたいと思ったワケです。

まぁカンタンに言えば、もっと普段から気軽に乗りたいと思える1000ccのオートバイにしたいというのがネライです。

次回へ続く。

 


ちなみに、地球ゴマの向きを、写真でいえば人差し指をオートバイの進行方向と設定してみると……BMWに代表される水平対向エンジンの縦置きクランク……ということになります。すると、回転数が上がってもあら不思議!? 左右へは軽快じゃありませんか!! そんな縦置きクランク・エンジンの魅力の片鱗も地球ゴマでちょっと想像できるようになりますヨ。

[SR500F.I.]工具要らずのセッティング!? 季節の変わり目にも……空気圧チェック。


季節の変わり目や、わりと気温の変化を大きく感じたときに「アッそういえば」と思いだすのはタイヤの空気圧。気温が高いと空気は膨張し低いと収縮する。つまり夏の気温で適正だった空気圧もそのまま秋〜冬に突入するとそれだけで空気圧は下がっているということ。11月に入ってからも意外と寒くならなかった東京ですが、昨日の朝は冬の到来を感じさせる気温。そういえばSRはリアホイールを組み直して以来、空気圧のチェックをしていなかったなぁと、編集部に着いてタイヤが冷えてからチェックしました。


現在僕のSRはフロント:2.30kPa、リア:2.50kPaを基準にしていますが、チェックするとフロント:2.10kPa、リア2.30kPa。わずか0.2kPaずつの減少ですが、“自分にとっての基準”を作り普段から気にして走っていると、わずかな差でも不思議と「アレ、なんだかいつもと違う!?」と気がつくものです。

空気圧が基準より下がっているときは、タイヤの接地感が増すことで少し重たく感じ、反対に空気圧が基準より高い場合は、普段よりもゴツゴツとした乗り味や接地感が少ない心もとないフィーリングを感じさせます。

ちなみに……

■SRのメーカー推奨の標準空気圧は、
フロント:1.75kPa(1名)/2.00kPa(2名または高速走行)
リア:2.00kPa(1名)/2.25kPa(2名または高速走行)

もちろん指定空気圧よりも低いのはご法度。でも決して空気圧が高い方が良いというハナシじゃありません。ですが[↑]の指定空気圧を見て思うのは、1名乗車時とタンデム時や高速走行時の空気圧にはけっこう幅があるということ。初めの頃はついつい1名乗車時の空気圧に合わせてしまいがちですが、考えてもみれば高速を走りそのまま下道を走る……なんてことは誰にとっても日常茶飯事。またタンデム(ヒト一人分)とまではいかなくても、キャンプツーリングともなればリアシート部分にそれなりの重量を載せることになります。そもそもライダーの体重だってヒトそれぞれですからね。※ちなみにヤマハの指定空気圧のライダーの想定体重は65〜70kg。

つまりメーカーの指定空気圧というのはあくまで基本の目安と考え、そこから自分にとっての好みを見つける作業も楽しいワケです。いわば空気圧の調整は工具も使わずまず最初に誰でもできるセッティング。


SRではもう10年以上いろいろと試してきましたが、現在装着しているタイヤ、ダンロップK300の場合はフロント:2.30kPa、リア:2.50kPaでひとまず落ち着いています。指定空気圧よりも高めにしている理由は、僕が求める軽快感と安心感、そして乗り心地のバランスがよかったから。ちなみにこれまで付けていたメッツラーME11(F/19インチ)/ME77(R)のときは、フロント:2.10kPa、リア:2.30kPaでした。あくまでこの数値は僕にとっての好みであって、この空気圧だと不安に感じるヒトもいれば、なんだか重たいなぁと感じるヒトもいるかもしれません。当然、同じタイヤでも今後乗り方や好みが変わればそれに合わせ変化するはずだし、その変化を楽しめばいいだけ。

たとえばSRで現在標準空気圧のF1.75/R2.00で走っているヒトなら、試しに2名&タンデム時のF2.00/R2.25にしてみるとその違いが感じられて面白いですよ。まずオートバイが少し軽くなったように感じると思います。それで不安を感じないまま楽しくなった! なんていうのなら、それをひとつの基準にしてみるのもいいかもしれません。反対にその“軽快感”を不安に感じたのなら、あっさり元に戻せばいいワケです。もしくは中間にしてみたり。

大切なのは自分にとっての基準を作ってみて、普段から気にして走り、そして日常的に空気圧のチェックをすること。いま思えば、まだオートバイのことがほとんどわかっていなかったSRに乗りはじめたばかりの頃は、空気圧のチェックとチェーンの注油だけが“唯一自分でも変化が感じられる”楽しいメンテナンスでもありました。

編集部で愛用しているエアゲージは旭産業の棒ゲージ。

ご存知のとおり空気圧チェックは必ず冷間時に、が必須。緊急時ならガソリンスタンドでも構いませんが、一度走ってしまうとタイヤの熱で空気が膨張し空気圧も変化してしまうため、GSでのエアチェックではいつまでたっても“自分の基準”は作れません。そのためにはホームセンターでも買える空気入れとエアゲージをもっておくこと。これだけでもずいぶんオートバイライフは変わります。

そして、コーナリングにおいても空気圧は「これくらいがいいなぁ」なんて好みが出てきたらもう楽しいセッティング沼の始まりです(笑)

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