今回メーターのダンパー交換をきっかけにあらゆるゴム/ダンパー部品を見直したワケですが、乗り味やフィーリングに直接関わるのに“放ったらかしてしまったシリーズ”がありました。それはハブ・ダンパーです。
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■[SR500F.I.]ゴム類のメンテ、忘れてました…。その1は→コチラへ。
■[SR500F.I.]ゴム類のメンテ、忘れてました…。その2は→コチラへ。
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ハブ・ダンパーとは……その名のとおりドリブン・スプロケットとリアホイール・ハブとの間に入るダンパーで、SRの場合、専用の形をした6つのゴムの塊が緩衝材になるように入ります。

ハブダンパー交換前。外したリアタイヤのスプロケットを両手で持ち左右に動かすとカタカタとわずかに動きます。このわずかなクリアランスがハブダンパーの摩耗であり、トルク・フィーリングやスロットル・レスポンスにも大きく影響する……ことをあらためて実感しました。
エンジンで発生したパワーがドライブチェーンを介してリアタイヤを回転させ、路面を蹴るリアタイヤがスイングアームを介して車体を前に押し出す……これがオートバイの“後輪駆動”の仕組み。
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つまりドリブン・スプロケットとリアハブを繋ぐハブダンパー部分には加減速のたびに相当なチカラがかかっているワケですが、外したリアタイヤのスプロケットを両手で持ち左右へ動かしてみると、数ミリくらい? カタカタと動きました。前回ハブダンパーをいつ頃交換したのか遠い記憶をさかのぼってもハッキリしませんが(記録しておかないとダメですね)、少なくとも5年は経過しているはず。
久しぶりの確認だったので「5年以上放ったらかしててこの程度か……」とも思いましたが、よくよく考えればこのクリアランスはそのまま“スロットル・レスポンスのタイムラグ”になるワケです。もちろんそのタイムラグ(=クリアランス)は加減速のたびに“衝撃や振動”にもなる。
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[左]が新品で[右]が5年以上使用したハブダンパーの状態。見た目に多少の違いはあるものの、見て触る限りではダンパーゴム自体が極端に縮んでいたり硬化している感じはありませんでしたが、新品に組み替えるとどうなるのか。楽しみです。
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オートバイ整備の難しいところは、ハブダンパーをはじめこうした消耗部品が“徐々に摩耗・劣化していく”こと。つまり消耗や劣化具合に自分自身も慣れていってしまうためついつい忘れて放ったらかしにしてしまうのです。
ハブダンパーが収まる部分をきれいに洗浄し新品を組み付けました。さてどうでしょうか? 交換前と同様に両手でスプロケットを持ち左右に動かして見ましたが、これが不思議とビタイチ動きません! 交換前にカタカタと左右に数ミリずつあったクリアランスは見事になくなりました。ダンパーのどの部分がどう摩耗していたのか目視ではわからなかったのにハッキリと違うから驚かされます。
ハブストッパー、ダストシール、サークリップを組み付け、ドライブハブのグリスニップルからグリスも充填。しっかりと反対側から出てきたことを確認します。あとはホイールを車体に組み付けて終了。
ハブダンパーを新品にしたことによる違いは想像以上でした。ハブダンパーの摩耗・劣化によるタイムラグがなくなったことで、明らかにトルクが増したかのようなチカラ強さを感じるようになりました。おまけにそのトルクフィーリングはチカラ強くなったにもかかわらず、はっきりとダンパーを介していることを感じさせるほど“柔らかくて上質”。車検のたびに……とは思いませんが、3年くらいに一度交換しても良いかもしれませんね。はっきりと違いを体感できて明らかに気持ち良くなる……そういえばハブダンパーのこと忘れていたなぁという方、交換オススメですよ。
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(おまけ)
右サイドカバーのラバーマウント部分やサイドカバー上部のゴムカバー、またクラッチレバーのホルダーカバーも摩耗・亀裂が入っていたため交換しました。どれも納車時から10年間そのままでした。