4月2日、春一番も過ぎ去ったのにプチ寒波到来で、とにかく関東では冬の気温の晴天日。W1厚木基地メンバーでもある研磨屋・成瀬さんの主催で、今人気の道志道と中央高速&R20の間の山々の間を走って中央道・談合坂SAの公園でランチするプチツーリングに参加しました。
参加者はW1系5台をはじめに、250ロードもオフ車も入り混じる10台あまり。走る順番など決めずに、休憩で止まる度に前も後も参加者が入れ替わる、そんな気軽なショートツーなののですが、そうはいっても僕はそんなに気軽になれません……だってそうでしょ! こないだ“大人のコーナリング”なんていう本をエラそうに出した本人が、ダメダメなコーナリングじゃ、本の信憑せを落とすばかり。フツーならしなくてもいい“キンチョー”を人知れず勝手に背負い込んでるわけです。余談ですが、オートバイ雑誌関係者とフツーの一般ユーザーの間で、その板挟みにもう40年近く悩んできた人生でもあるわけです(ずいぶんオーゲサですね)。
東京から西方の山々には、そこかしこに桜の木が植わっていて、その間を抜けていく山道は気温は低くても完全に春爛漫の雰囲気。それを楽しむための成瀬チョイス・ルートなのに、山道に入った途端、ある“失敗”に気づきました。
タイヤの空気圧、チェックすればよかった……タイヤの空気は冬の一番寒い時に入れると、自然に抜けていくとはいえ、気温の高まりとともに膨張するので、夏→秋と違って冬→春は空気圧を比較的長く維持してくれる。実際、今年1月から何度かチェックはしてきたが、想定より高いことがあっても低いことはなかったのです。その油断からここ2週間ほどチェックしてなかったのです。出かける前日にも、一度アタマに浮かんだけど、まーいいや、にしていたのです。
そもそもW1/W3の場合、50年前のメーカー指定はF1.8kPa・R2.2kPaなわけですが、’50~’70年代の砂の浮いた荒れたアスファルト&柔軟性に乏しいタイヤゴムという状況では、確かにそうかもとも思えます。しかし今では、山道でも砂が浮いていることは少なくグリップの良いアスファルト、オマケにタイヤゴムは日進月歩で繊細な柔軟性を獲得しているので、50年前の適正指定は現在の道を走るには低過ぎて、タイヤを摩耗させるばかりなのです。僕のメッツラーME11/77での好みの空気圧は F2.3kPa・R2.5~2.6kPaと高め。それでも、タイヤが滑ることはありません。
ところが、すでに1万3000キロも走ったフロントタイヤはトレッドのスリップサインが出てないとはいえ偏摩耗は明らかな上に、サイドウォールにはオゾンクラックがいっぱい(車検ではアウトですね)。普段街中を走る分には少し気になる程度のことでも、山道のコーナリングでは強烈にウラ目に出てきました。偏摩耗で薄くなったトレッド+ヒビ割れサイドウォールで、コーナリング荷重を受け止めきれず、ダンピング性能は最低な上に異様な変形を起こしているのか、接地部分が引っ掛かりとなって、走行ラインを思ったより内側に引き込む上にフロントを切れ込ませます。途中で病欠早退ししたくなるくらいショックで、証拠写真を撮ることを忘れてたくらいです。
桜並木の綺麗な川原の公園で休憩の時に、“大失敗!! フロントの空気が低くて気持ちよくない!!”とボヤいてたら、「ポンプもゲージもあるよ」と成瀬さん。測ると2.2kPa強。「抜けてないじゃん」というけど、タイヤがタイヤだから……じゃあ2.5kPa入れて。成瀬さんが取り出したる自転車用ハンドポンプがスグレモノで、30cm長しかないのに、手の力だけでどんどん入る。昔のMEIDAIベビーポンプとは隔世の感があります。「自転車では7~8kPa入れるのが当たり前だからね」……帰ってきてポチッたのはいうまでもありません。
2.5kPaとなったヤレヤレ ME11はとりあえず格段の症状緩和となりましたが、元どおりとは違います。新品メッツラーME11/77に、空気を2.5kPa入れ、前夜には例のコーナリング本を熟読復習してきたYセンパイは、僕の後を楽しくついていけたというけど、僕にはそんなYセンパイをバックミラーで見る余裕もありません。僕もスムーズに走っていたようにいうけど、見られている僕としては、いちおー手本にならなくては…と、さまざまな御法度テクニックを駆使してスムーズなコーナリングの“テイ”を装いました。「どおりで、なんか上半身が硬いなぁ、と」細かく見てますねぇ。ということは、それだけYセンパイは本当に、余裕が生まれて楽しかったんだ、と思いました。
とにかく、僕によっては大変な1日でしたが、僕の出した本がみんなの役に立てて、心底良かったと思えたことで、納得しておきましょう。