これは1937年に誕生した目黒製作所の第一号モデル、OHV単気筒500ccのZ97型の貴重なオリジナルのカタログです。先日、戦後に生産されたZ97型の後継、“Z型”を所有するオーナーの方よりお借りした貴重な資料です。
こちらがそのZ型。各部に改良は加えられたものの、ガーターフォーク+リジッドフレームにOHV単気筒500ccという構成は共通。その後、500シングルのZシリーズ、250シングルのジュニアシリーズが目黒製作所のメインラインナップとして展開され、1950年代後半に650/500ccの2気筒モデルも生産し、それが現在に続くカワサキWシリーズの源流となっていくのでした。
こちらは1960年代に登場したジュニアシリーズの末弟、OHV250cc単気筒のS8。目黒製作所として生産された最後のジュニアシリーズで、カワサキとの業務提携後に登場した250SGは、メグロの名はあくまで車名として付けられたカワサキ主導で生産されたモデルでした。このジュニアシリーズが1992年に登場したエストレヤの源流です。
こちらは昨年暮れに発売されたカワサキMEGURO S1。2021年にMEGURO K3が登場した際にもじっくりと考えながら本を作りましたが、メグロとWには、根底の部分で大昔から現在まで共通する何かがある気がしてなりません。エンジンの構造が違うだの、素材やカタチが違うといったことは枝葉末節なことで、もっとその手前にある、オートバイとしての芯を貫いている何か……。11月にS1に試乗し、先日その源流にあたるS8にも試乗しましたが、その気持ちは強まるばかり。
というわけで、年明けからメグロとWを繋ぐ光を探す、長くて深い旅に出発しました。お楽しみに。