「カワサキ・ザッパー物語」なんて本を作ってました。6/27発売です。


>>NEW<< ——6/27発売
「THE PHILOSOPHY OF KAWASAKI ZAPPER」
それはオートバイの快感、カワサキ・ザッパー物語。


amazonは、こちらからどうぞ。

昨年12月にカワサキから発表された新型ネオクラシックモデル、Z650RS。Z900RSが初代Z1カラーで登場したように、Z650RSは“ザッパー”の愛称で親しまれた1976年のZ650カラーだったことから、発表直後からファンのあいだでは「待望のザッパー復活!!」や「ザッパーというなら4気筒じゃないと…」云々、賛否両論盛り上がりました。というのも、Z650RSのベースとなったネイキッドZ650は並列二気筒だったのです。

Z900RSで「水冷エンジン」、「モノサス」、「前後17インチ&ラジアルタイヤ」に免疫はついたとはいえ、多くのZファンやクラシック系バイクファンにとっては、やはり「ザッパー復活ならば4気筒であって欲しかった」なんて声が多かったのも事実。久しぶりにバイクファンの中で“ザッパー”というキーワードが脚光を浴びたワケですが……歴史を振り返ると、じつはカワサキが1976年のZ650だけを指して公式に“ザッパー”と名乗ったことはなかったのです!! 

では、ザッパーとは何なのか!? 本誌の企画はここからスタートしました。

なんでも「ZAPPER(ザッパー)」とは、「風を切る音」を表す「ZAP」という単語からら生まれたコトバだそうで、1960年代のアメリカでは「速くて飛ばせるオートバイ」を指して使われていたようなのです。当時だとTRIUMPH T120やH-D SPORTSTERがザッパーの部類。

国内でのオートバイ事業参入が後発だったカワサキは、’60年代中盤以降その活路をアメリカに定めるワケですが、ご存知のとおり並列二気筒650ccのW1では見事に失敗。カワサキはこのとき初めて「アメリカの若者が求めているのはどうやら“ザッパー”らしいぞ」と知ることになったのでした。

PART1は、ザッパーを模索した1969年のH1(マッハIII)から、世界一のザッパーを目指した1972年のZ1を“徹底したザッパー目線”で解説。

「日本のメーカーは国内用のモデルを輸出しているが、カワサキは“米国用”のモデルを輸入しているのだ」当時アメリカ・カワサキの総責任者だった浜脇洋二氏は、Z1の開発史を記した『カワサキZの源流と軌跡(三樹書房)』のなかで、当時の戦略についてこう話しています。

なんでも、ホンダ、ヤマハ、スズキよりも遅れてアメリカに上陸したカワサキが、1966年にいち早く現地法人を設立し始めたことは、“アメリカ人になりきりマーケティングすること”。幹部にアメリカ人を雇い、社内では英語を公用語とする。日本の3メーカーとの差別化を図るべく徹底して“郷に入らば郷に従え”精神を貫く。こうした環境下のアメリカで「ザッパーとは何ぞや!?」と模索しながら誕生した“ザッパー第一号”が、じつはジャジャ馬で知られるマッハIIIだったのでした。そして、それまで一般的な呼称でもあったZAPPER(ザッパー)は、次第にカワサキの下で開発思想となり、その後のZシリーズが誕生するのです。

当時、開発思想にまで昇華された「カワサキにとってのZAPPER(ザッパー)」とは何だったのか!? ’60〜’70年代の“カワサキ・ザッパー物語”を紐解くことこそ、いまスタンダードと呼ばれ多くのヒトが楽しむ’70年代のZシリーズの魅力を知るきっかけになり、さらに当時のモデルをモチーフとするZ900RS、そして新型Z650RSの“魅力の本質”が見えてくるのではないか!? それこそが本誌のテーマでありコンセプトです。

題して、「THE PHILOSOPHY OF KAWASAKI ZAPPER」。雑誌というより、読み物に近い? 「カワサキ・ザッパー物語」は6月27日発売です。

PART2は、1976年のZ650。なぜZ650だけが“ザッパーの愛称”で親しまれたのか!? その謎に迫ります。

PART3は、Z650の翌年登場したZ1000。いわゆるZ1系デザインの最終モデル。不人気車でもあったZ1000開発の真相とは!?

PART.4は、’70年代の一部のカワサキ・スタンダード車に付けられていたRS=ROADSTERに着目し、新型Z650RSの魅力に迫ります。

PART5は、Z1開発時に常に議論されていた「優れたツーリングバイクであるために」をテーマに再考。1970年を境にアメリカで“新たなレジャー”として脚光を浴びたツーリング。Z1で追求した魅力はZ900RSにも受け継がれている!?

「THE PHILOSOPHY OF KAWASAKI ZAPPER」
それはオートバイの快感、カワサキ・ザッパー物語。
¥1,200

全国書店、Amazon等でお買い求めください。

〈目次〉
■Introduction——「再び脚光を浴びたザッパーがもたらしたこと」
■本誌を深く理解するためのキーワード解説
■1927-1970 カワサキ年表「造船、飛行機そしてオートバイへ」

——特集——
■Part.1「BORN TO BE ZAPPER」〜“ザッパー伝説”は、アメリカではじまった〜
■Part.2「MORE ZAPPER!!」〜カワサキは“650”の魅力を知っていた〜
■Part.3「THE KING」〜カワサキZはザッパーから大人のマシンへ〜
■Part.4「ROADSTER」〜カワサキ・スタンダードが標榜する、もう一つの本領〜■Part.5「TOURING CYCLE」〜“豊かなトルクに身を任せて遠くまで”〜

■〈男からオトナ・カワサキへ〉
石丸直基/登山道夫(Z1 FANCLUB)/佐々木英行/Lewis Leathers/SHM Helmet

■〈Zにまつわるエトセトラ〉
「ステーキ名で呼ばれたZ」/「Z系エンジンの変遷」/「ヨーロッパ仕様のZ」/「カワサキZの伝説あれこれ」

■Story from Photograph「650」
■Epilogue「1970年代の正統派」

 

[KZ1000]純正流儀でウインカーの後方移設を考える。その1


昨年リアウインカーを後方に移設し、サイドバッグが装着しやすくなったことで積載の幅がグッと広がった僕のSR500。そもそもはパニアケースの装着も考慮し、純正でテールライト・ブラケットにウインカーステーが付く“ドイツ仕様”の存在を知ったことがきっかけでしたが、それ以来、旧車、現行問わず、あらゆるモデルのリアウインカーの位置をチェックするようになってしまいました。

■SR500のウインカー移設の模様はコチラへ


最近ではW800が2018年モデルからリアウインカーの位置が後方に移設されましたね。この純正部品は旧W800はもちろん、W650ユーザーさんでサイドバッグ等を付けるヒトにはほんとオススメです。

というわけで、いよいよ情報と部品が揃ったためKZ1000のリアウインカーも後方移設することにしました。もちろん今回もSR同様、徹底的に“純正流儀”で参ります。

KZ1000純正のリアウインカーの位置はリアサスペンションのすぐ後ろ、ちょうどグラブレールが立ち上がる辺りで、ウインカーステーはフレームと固定。取り付け位置や取り付け方法は’72-3年の初期Z1から基本的には変わらない……と思っていたのですが、Z系の歴史を紐解くと、やはりSRのように欧州輸出モデル(※全てではない!?)にはリアウインカーの位置が後方に移設されたモデルが存在していたのでした。というわけで、その視点でちょっと歴史をおさらいしましょう。


1972-73年の初代Z1。リアウインカーの位置は北米仕様の僕の’77KZ1000と同じ。僕の調べでは’72〜’74年までは仕向地を問わずこの位置。※もし違っていたらご教授を!

以前取材したLewis Leathers東京のショップマネージャーが乗る1975年のZ1Bは、貴重な欧州仕様のオリジナル!

こちらはいわゆる900Z1シリーズの最終、’75年のZ1Bの欧州仕様。欧州仕様の最大の特徴は被りの深いリアフェンダーですが、よ〜くリアウインカーの位置をご覧ください。グラブレールからステーが伸び初期Z1よりも“後方”に付いています。当時のカワサキ車で言えばW3もこの仕様ですが、Zシリーズでウインカー位置が後方に移設されたのはどうやらこの’75年モデルから。ところが、被りが深いリアフェンダーが付く欧州モデルでもリアウインカーの位置は北米仕様(初期Z1)と同じモデルもあるため、ひと言で「欧州仕様はリアウインカーが後方に付く」……とは言えないワケであります。やはりSR同様、BMWを筆頭にパニアケースの装着が当たり前の装備だったドイツを中心とした仕様だったのでしょうか!?

1977 Z1000のドイツのカタログ。「NEU」=ドイツ語で「新着」。リアウインカーは’75 Z1Bと同様にグラブレールから伸びるステーで後方移設されています。

同じく1977のZ1000のカタログ写真ですが、深いリアフェンダーと「Z1000」(※1)のサイドカバーエンブレムが付いていることから欧州向けと思われますが、リアウインカーの位置は初期Z1と同じで後方移設されていません。

そうした意味では、上の2枚は興味深い写真。上は「NEU」(=ドイツ語で「新着」)と書かれているとおり、1977年のドイツ向けのカタログ。下も被りが深いリアフェンダーが付いていることから欧州向けですが、上のZ1000のリアウインカーはグラブレールにステーが付き後方移設されていますが、下のZ1000のリアウインカーの位置は初期Z1と同じで後方移設されていません。


こちらも同じく1977年のカタログ写真ですが、リアフェンダーは被りが浅くサイドカバー・エンブレムは「KZ1000」。つまり北米を中心とした仕様。そもそもZ1の名称は「最高、最終のモノ」という思いが込められ頭文字に「Z」が使用された……のは有名なハナシですが、当時の開発ストーリーによると、なんでも’72年以前にすでにA、B、C、D、F、G、H、J、K等、雰囲気や語呂が良いアルファベットは全て使用済みで「Z」と決まったものの、このネーミング方法では限界が見えていたということで、その後「4ストローク・ストリート車」=KZ、「2ストローク・ストリート車」=KH、「オフロード車」=KEとし、その後ろに排気量を組み合わせるネーミング方法を採用することになったそうです。

ところが!? その矢先「KZ」「KONZENTRATIONSLAGER(強制収容所)」の略称として新聞や雑誌等で広く用いられている……という理由で西ドイツから物言いがついた……というのです。

こちらは1977年Z1000のドイツ向けカタログ。サイドカバー・エンブレムは「Z1000」。リアフェンダーは被りが深く、リアウインカーは後方移設タイプ。

1978年Z1000のカタログ写真。細部の言語から判断するとこちらはデンマークのディーラーのモノ。リアウインカーはこちらも後方移設タイプ。

Zシリーズで「KZ」のネーミングが使われたのは’76年からですが、上記の理由からサイドカバーにKZエンブレムが付くのは北米仕様のみで、欧州向け(日本展開の750/650/400等も含め、北米仕様以外すべて)は「Z」で統一。そうした理由ならば全世界で使用しなければ……と思ってしまいますが、なんでも当時、西ドイツの物言いに対しアメリカ側は「そんなイメージはない」と突っぱねたと言います……戦勝国と敗戦国の差でしょうか!? なんとも戦争が尾を引いているとも感じてしまう逸話であります。(※1)

こちらは1978年のZ1000欧州仕様のカタログからのひとコマ。ライダーの雰囲気もジェントルで“GT”してます。リアウインカーは後方移設タイプ。

……話を戻すと、懸案の“純正流儀のウインカー後方移設”問題は、同じ年式、つまり’77〜’78 Z1000欧州仕様のウインカーステー付きグラブレール(↑)を手に入れれば解決! なのですが、これがe bayを探しまくっても一つも出てこないんです!! 値段が高くて手が出ない……ではなく、ここ1年くらい世界中のネットオークションには皆無!! さて、困った。

気を取り直して系譜に戻りましょう。

1979〜’80 KZ1000 Mk II(北米仕様)

1979〜’80 Z1000 Mk II(欧州仕様)

さて、お次は1979〜’80年の2年間のみにも関わらず、現在も絶大な人気を誇るKZ(Z)1000MkII。サイドカバー・エンブレムからも分かるとおり、上が北米仕様で下が欧州仕様。モデルチェンジに伴いリアフェンダーもスチールから樹脂に変わりましたが、北米仕様は「被りが浅く」欧州仕様は「被りが深い」ことはこれまでと同様。そして!! 注目の(僕だけ!?)リアウインカーの位置ですが、北米仕様はしぶとく初期Z1に倣ったリアサスペンションのすぐ後ろに付いていますが、欧州仕様はテールランプのすぐ下に付いているではないですか!! これだけスペースに余裕があれば、それこそあらゆるパニアケースの装着も容易ですね。

1978 Z1R(欧州仕様)のカタログ写真。フロント18インチが採用されたのはこの年だけですよね。不評で翌年から19インチに戻ったと言いますが、乗ってみたいものです。

じつはコレ、よくよく調べるとひと足先に’78年のZ1R(欧州仕様)から採用されております。

 

ドイツのカタログと思われるこの写真は、カムカバーの形状からも[左]が’78 Z1Rで[右]が’79 MkII。schon immer ihrer Zeit voraus=常に時代を先取りする……という意味。

そしてそして、またしても興味深い(僕だけ!?)カタログ写真がこちら。言語からドイツでのカタログであることは間違いないのですが、左の’78 Z1Rはリアフェンダーの被りが深くリアウインカーはテールランプのすぐ下に付いているにも関わらず、右の’79MkIIは被りの深いリアフェンダーは共通ですが、なんとリアウインカーの位置は初期Z1や北米仕様と同じ位置!?

つまり……ドイツを中心にユーザーやディーラーからの要望を受け、グラブレールにウインカー後方移設のためのステーを付けた’75年のZ1B以降、欧州向けのZシリーズにおいては「ウインカーの位置を選べた」もしくは「オプションで変更できた」と考えるのが妥当ではないか!? と結論づけるワケであります(論文調?)。カワサキさん、教えてください!

 


そして!! こうした事実を研究しながらネットの中を探しまくった結果、なんと欧州仕様のMkII用と思しきウインカーステー付きのテールライト・ブラケットをゲットできたのであります!! 要するに、構造はドイツ仕様のSR500と同じですね。果たして僕のKZ1000に付くのでしょうか!?

■SR500のウインカー移設の模様はコチラへ

その2に続く。

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