少し時間が経ってしまいましたが……前回の続き。
■求めたのは「GT」な4 in 1マフラー →その1
■求めたのは「GT」な4 in 1マフラー →その2
■求めたのは「GT」な4 in 1マフラー →その3
あらためて「GT感」とは何か!? 端的に言えばそれは、あくまで「公道用/公道仕様」において、快適に遠くまで行ける排気量とラグジュアリーな乗り心地、そしてスポーツ性を両立した’60〜’70年代の欧米で流行した、クルマでの新しい余暇の過ごし方を提案した価値観。そう、ポイントはあくまで「公道用/公道仕様」だということ……。
で、ようやくブログタイトルのエキパイの細さについて。
昔からキャブレターのベンチュリー径でも同じ傾向にありますが、せっかくアフターパーツに変えるのだからと、ついつい「数値の大きい方」を選びがち。レースイメージが先行し「数値が大きい方」が、速い/エラい/性能UP……と思ってしまうのでしょうが、キャブレター径もマフラーのエキゾーストパイプ径も、スロットル全開/高回転域でのパワフルさや伸びを優先させるならば「大きい方」が有利ではあるものの、ストリートで多用するスロットルの開け始めや低中回転域でのトルク・フィーリング、またパーシャル巡行からガバッとワイドオープンすることもある高速道路での追い越し等では、圧倒的に「小さい方(というか無闇に大きくない方)」が有利で扱いやすかったりするもの。要するに、「数値が大きい方」は、レーシング・イメージという意味では見た目は良くても、普段使いではなんだか扱いづらい……そんな傾向があるのも事実。直線では気持ち良くても、ワインディングやコーナーでしっかりと“開けて曲がりたい”と考えるなら、スロットル操作は扱いやすい方がいいに決まってますからね。
こちらは純正マフラーのエキゾーストパイプの内径を計測した写真。およそ32φ。
そしてマーシャル・ディープトーンのエキゾーストパイプの内径は……想像どおり純正同様の約32φでした。おそらく純正に倣って作られたのでしょう。エキパイ径38φが主流のZ系のアフターパーツ・メーカーのマフラーにおいては、ずいぶんとおとなしく作られた集合マフラーだったのかもしれませんね。でも逆に言えば、あくまで「公道を気持ち良く走ること」を前提に企画されたマフラーでもあるということ。
マフラーの基本的な考え方は……、全長を短くすると「高速型」、長くすると「低速型」。径を太くすると「高速型」、細くすると「低速型」。集合部を手前にすると「高速型」、後ろにすると「低速型」。サイレンサーの出口径を大きくすると「高速型」、小さくすると「低速型」。
……とは、パワーボックス・シリーズがあらゆる車種で好評を得ている“気持ちイー”が合言葉のSP忠男さんのマフラー作りから勉強させてもらった、マフラーの考え方の基本。もちろんソレだけじゃ測れない各メーカーや職人さんのこだわりはもっともっとある筈ですが、まずはアタマに入れておいていい基本の予備知識です。
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というわけで、マーシャル製の4in1マフラー〈ディープトーン〉は、純正同等のエキパイ径、社外マフラーとしては比較的小さなサイレンサーの出口径、そしてデザインやフォルムにラインと、すべてにおいて僕の理想を叶えていたのでした。驚いたのは、純正マフラーの時とキャブレターのセッティングをほぼ変更しないまま気持ち良く走れたこと。わずかに感じた薄さは、エアスクリューを1/16〜1/8程度開けただけで解消したほどでした。
エンジンオイルのドレンボルトのすれすれを通る集合部。初めて装着した時はぶつかるんじゃないかと不安になったほどの素晴らしい寄せ具合。エンジンとマフラーの距離がむやみに空いているのは緊張感に欠けますからね。
僕にとってはオートバイ人生で初の4気筒、初の4in1マフラー。ヨシムラが開発した集合マフラー伝説じゃありませんが、キャブ・セッティングを変更していないにもかかわらず、スロットル1/2〜3/4、そして全開領域では、純正マフラーを軽く凌駕するシャープかつパワフルな伸びをみせてくれた一方で、発進やUターン等の極低速時での扱いやすさは純正と変わらないという見事なモノ。さらに驚いたのは、始動性までよくなったことでした。もちろんマシン自体もグッと軽くなり、集合マフラー装着のきっかけでもあった日常使いにおける「重さ」によるストレスもずいぶん解消されたのでした。
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というわけで、偶然見つけたマーシャル製の4in1マフラー、”ディープトーン”は、まったく完璧な「GTなマフラー」だったのでした。しかし、いよいよ本格的に集合マフラーについても興味が湧いてきました。もっと勉強しないとですね。次回はこれぞまさにジェントルな「排気音」動画にチャレンジしてみようと思います。
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