ツーリングの思ひ出 -2- 初めは小さなサドルバッグから。

京都・河原町五条近くにあった、僕と同じ年・昭和36年開店の純喫茶エルベ。雰囲気があったので入ってみると、僕と同年代のマスターは2代目で、先代(父親)が始めたそうだ。そのマスターもオートバイ乗りで、京都を通るたびにいつも寄っていたのだが、数年前に残念なことに閉店。この頃はテントやキャンプ用品などアタマにまるでなかったので、W3でもW6でも小さめのサドルバッグにコロナタンクバッグをシートバッグとして使うくらいで、ちょうど良い荷物の量だった。

オートバイのラゲッジ・パッキングは通称“振り分け”のサドルバッグから始めたわけだけど、じつは前回紹介したタチバナUS ARMYチャレンジバッグ大(3本ストラップ)ではなく、小(2本ストラップ)からだった。大はずいぶん以前に使っていた経験上、普段使いでは大きすぎる気がしていたからだ。最初はオリーブドラブ(モスグリーン)の帆布バージョンから使い始めたが、そのうち自分は某映画の橋本功でもないのだから、雨水に強い合皮ブラックの方を使うようになった。

2012年春、試乗会ついでに群馬〜埼玉北部の山越えを試みたら道に迷い、無人駅舎で一晩を明かした。1日中曇っていたので時間も方向もわからず、見渡す限り山なみの“海腹”の中にいる気分だった。タナックスMOTOFIZZ“サドルバッグ2”は1〜2泊程度のツーリングには最適な、ちょうど良いサイズなのだが、当時はなぜかまるで人気がなかった。

それから、似たようなサドルバッグは他にないのかな?とアレコレ探してみると、タナックスMOTOFIZZのサドルバッグを見つけたのだが、それはすでに生産終了。当時はタチバナも同じく生産終了していて、どちらも店舗在庫品がネットオークションに格安で出ていただけだった。H-Dやアメリカン向けのランドセルのように頑丈な革製の片側タイプばかり人気の時代で、フツーのオートバイや旧車に似合う“振り分けサドルバッグ”は全く人気がなかったのだ。

この時、じつは“振り分け”の片方はカメラ機材でいっぱい。まともな着替えもキャンプ用品も持ってない頃の話だ。フツーのオートバイ乗りならば非常時の衣類や湯を沸かすくらいのキャンプ用品を積めただろうが、運悪くその晩はかなり冷えた。

いずれにしろ、10年ほど前の話だ。その頃は、シバハラもまだラゲッジグッズにまるで興味がなく、普段から“振り分け”を使ってるのは都内で僕だけか、と思うほどだった……一見、重そうだというのだが、シッカリ荷物が搭載されていれば、荷物無し状態と変わらずキビキビ走れることに気がつくと、「どうせなら、新型新品を作っちゃいましょう」とか言い出し、ストバイ ・オリジナルのサイドバッグ計画が始まったのだ。

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