ところで…シリーズ その1- クラッチは重くてもイイ!?

 

さて、今回から始めてみようと思う“ところで…”シリーズ……つまり、ところで◯◯って知ってた? ●●だと思わない? みたいなことを、テキトーになんだかんだブログっていこうと思いますので、よろしくです。そんでもって、その1発目は“クラッチ”の話です。

 

アシスト・スリッパークラッチのイラストは、カワサキHPより拝借しましt。https://www.kawasaki-motors.com/mc/lineup/w800/

最近はクラッチハウジングに工夫を凝らした“スリッパークラッチ”なる機構が登場して、多くの新機種に採用されています。どんな仕組みか?…というと、簡単なハナシ、弱いクラッチスプリングと、駆動力がかかるとクラッチをより強く密着させるようなツメが付けられたクラッチハウジングからなる機構。ポイントはそのツメが力的に一方通行で、駆動方向にはクラッチ板を強く密着させますが、その反対(逆転)方向のエンジンブレーキ側になると、クラッチ板の締め付け力は弱まる=滑りやすくなる=エンジンブレーキのかかり具合がマイルドになる……というのが、スリッパークラッチの本分(機能の本筋)で、渋滞などでのクラッチレバーの握力負担軽減エンジンブレーキの効かせた時のショック低減がその狙いなワケです。

そもそも、クラッチは駆動力をギアボックス→リアタイヤへという流れを、伝達/断絶するための機構で、その操作は“滑らせる”必要などまるでないものです。シフトアップだってエンジンブレーキだって、どちらでも速度とエンジン回転数をちゃんと合わせれば、スリッパークラッチも要らなければ、そもそもクラッチの断続を“滑らす”ことで誤魔化す必要などまるでないのです。昨今は4ストロークエンジン(しかもインジェクション付き)だし、あるいは2ストロークエンジンだったとしても、エンジンの状態がちゃんとしていて、低速のトルクが大して発生していなくても、点火・燃焼の“粘り”があってエンストさえしなければ、“半クラ”などを使って誤魔化さなくても、スロットルを丁寧に開けていくだけで、ちゃんと発進&加速を行えるものです。

だから、クラッチ・スプリングは本当は、軽い=反発力が弱い必要もまるでないワケです。発進やシフトのつなぎはジワッと繋ごう…と思う気持ちやイメージ「…つなぎ始めは少し滑り気味に」という半クラを助長しているだけなのです。

 

クラッチは切っている(=スプリングを縮めている)時間をできるだけ短くしたい。そうすれば、わずかにでも“滑らせる”時間というのを可能な限り無くすことができ、スプリングもクラッチ板も長持ちするのです。カンタンに言えば、“スパッと切って、ドンッとつなげばイイ”だけなのです。

もちろん、そのためにはキャブレターや点火系の整備をしっかりしておくことが重要ですが、現行のインジェクションモデルならば問題ないでしょう。クラッチスプリングも弱くする必要もありません。渋滞の中でもスパッとクラッチを切ってギアをニュートラルに入れれば、クラッチレバーを握り続ける必要もないからです。ただ、その代わりに必要なことがあります……丁寧なスロットルワークを自信を持って行えることです。

とまあ、クラッチの話なハズなのに、本当にカンジンなのはスロットルワークで、クラッチ自体は重くてイイ、ドンとつなげばイイ……なんて結論ですが、どんなオートバイでもこればかりはそうだと思ってます。

ちなみに、自慢じゃないけど結果として、僕は40年以上オートバイを所有し乗ってきて、しかも走行何万キロは当たり前(今乗ってるW3も僕だけで8万キロ、W650は11万キロ)ですが、クラッチ板を交換したことは一度もありません。それくらいクラッチは長持ちしますし、持たないヒトはやっぱり半クラ・滑らし時間が多いのだと思います。オートバイのコントロールはクラッチではなく、やっぱりスロットルでコントロールする乗り物だと思います。

 

 

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