次世代“W”ってハナシ、信じてないでしょ?…その3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、Z650RSが次世代のW系じゃないか?ってハナシの3回目。ちっとも本題のZ650RSの話になっていかないので、ジレッたいかもしれませんが、もう少しガマンして聞いてくださいね。Z650RSをすでに手に入れて乗ってる方、あるいはカワサキプラザなどで試乗とかレンタルとかしてみた方ならばお気づきの方もおられると思いますが、とにかく乗りゃあ分かるんだよ…みたいに乱暴に言ってみたいところですが、その魅力がじつに繊細な部分のハナシだから、感じてはいてもイマイチよく分からない…ってコトにもなりかねません。

なので、全体に漂う魅力を、“ステアリング・レスポンス”という瞬間の挙動に絞って話を始めたわけですが、もう3回目にもなってしまったわけです。ところで、みなさんに出しておいた宿題はどうでしたか? 家を出て、最初の左折や右折で、ハンドル周りが曲がりたい方向に勝手に切れていくのを感じましたか? セルフステア機能を感じましたか?……これはどんなオートバイにもある“構造上の機能”で、オートバイの構造や設定で、切れ込む量・大きさやスピードがちがっても、必ず切れ込むようにできているものなのです。

何のために?……前回も言いましたが、車体がパタン!と倒れてしまわないように、車体が傾いた方向へ、傾いた分(角度)だけ、ハンドル周りが遅れて切れ込む構造になっている(してある)のです。そして、その量(角度)やスピードが、そのオートバイの用途に応じて設定してあり、それそのものがそのオートバイの魅力の大きな要素にもなっているわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、そのステアリング・レスポンスの設定を決めているのが、キャスター角&トレール量であり、フロントタイヤのサイズ&形状&内部構造でもあり、さらにはフロント周りの荷重(重量)配分だったり、リアタイヤとのバランスだったり、そして車格(車体の大きさ)だったり、エンジン特性(パワーやトルクの出かたやスロットル性能)だったり…と、そうした諸々のことが関係してきた結果が“ハンドリング”という特性であり性格になるのですが、今回のZ650RSにおいてはそのステアリング・レスポンスがすごく分かりやすい=はっきり感じやすい&扱いやすいのです。

じつはココの部分が旧車ファン/新型ファンの分かれ道でもあるのです。誰でも分かる見た目をざっと比較してしまうと、フロント19インチ・バイアス ー 17インチ・ラジアル、そしてフロントフォークのキャスター角が寝てる(29°付近) ー 立ってる(25°付近)の違いが挙げられますが、Z650RSはなんと! 17インチラジアルでキャスター24°なのに、まるで旧車のようにステアリング・レスポンスを感じらるから驚きなのです。

GPレーサーからビッグツアラーまで、ありとあらゆるモデルの試乗インプレをしてきた僕ですが、こうしたフィーリングを傾け始めから感じさせてくれるフロント挙動のオートバイは本当に珍しい!……兄貴分とされるZ900RSも、乗っていて安心できるフロント周りのフィーリングですが、もっと動きや反応がわかりやすいんです。

そして、なんと言っても旧車っぽい懐かしい想い……最新のエンジンに足周りの新型モデルのはずなのに、’80年代の、しかもレーサーレプリカが登場する前のモデルに乗っているような感覚がカラダの芯から湧いてくるから、不思議&驚きだったのです。

その軽快な動きとエンジン特性も合わせて考えるとまさに、2ストスポーツヤマハRZ250/350を思い出させるような感覚!! なんだけど、ここでさらに嬉しいのが17インチ・ラジアルタイヤ……軽快なのに、どこか落ち着いた安心感が終始フロント周りに漂っているんです。とにかく、分かりやすい&掴みやすいから、いつも安心+ポジティブに乗れる。これなら、あちこち走っていっていろんなことができるなぁしたいなぁ…といろんな想いがアタマを巡りました。

では次回は、最終回としてこのZ650RSがナゼ次世代“W”なのか⁉︎ のお話をしていきまししょう。

photos by Kouichi Ohtani

 

 

 

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