最初にアップハンドル(当時はデイトナの’70sハンドルーGT750タイプ)に変えて以来、ブレーキホースもデイトナ製メッシュホースでしたが、8年ぶりにブレーキホースを交換。交換したのは、カワサキW650(アップハンドル)用の純正ブレーキホース。予想通り長さもフィッティングの向きや角度もバッチリでした。
ステンレス製メッシュホースとゴムホースの違いは、ブレーキレバーを握りホース内部に油圧がかかった際、わずかに膨張するゴムホースと比べステンレス製メッシュホースは膨張しにくいこと。その結果、メッシュホースに変えると油圧が無駄なくキャリパーのピストンを押すためブレーキのレスポンスが良くなる(=ストローク量が減る)のです。というわけで、純正ゴムホースからメッシュホースに変えるのが一般的ですが、今回はゴムホースに戻しました。
さて、ゴム製のブレーキホースに交換した理由ですが、その目的はブレーキのレスポンスを遅くすること。言い方を変えるとレバーのストローク量(握り始めからフルに握るまでのレバーの動く量=距離=時間)を増やすこと。つまり、メッシュホースからゴムホースに戻すと、当然ながら効き始めからしっかり効くまでの時間(レバーの動く量=距離)がメッシュホースに比べて、増えるワケです。今回は、その“時間”が欲しかったのです。
それは数年前から“離し側のブレーキング”を絶賛鍛錬中だから。
これまでブレーキ操作というと、信号で止まる時でもジワ〜っとかけ始め、停止する最後に強く握るモノだと疑いなく思っていました。極端なハナシ、クルマで言うところのカックンブレーキ。停止する最後にブレーキペダル強く踏んでしまうと車体がガックンとなるアレ。オートバイの場合はリアブレーキも使うので、さすがに停止時にガックンとまではなっていませんでしたが、操作の仕方、そして頭で考えるブレーキのかけ方という意味では、いわゆるカックン側(徐々に強めるかけ方)でした。
ところが、そのブレーキのかけ方一辺倒だと、コーナリング手前でどうしてもフロントタイヤに荷重が残り過ぎてしまう。するとそれに比例するように恐怖感も残る。それならばと手前でブレーキングを終えようとすると、思っていた以上に減速してしまう。どうしたものか!? と悩みながら、ずっと拭えない恐怖感を抱えていたのです。それを見かねたYASさんから「お前ブレーキどうかけてるの?」と指導が入ったワケであります。どうやら僕が疑いなく行なっていた徐々に強くブレーキをかける操作そのものが、そもそもブレーキのかけ方の手順がまるで逆だった!? ようなのです。
そこで鍛錬し始めたのが、“離し側のブレーキング”。
ブレーキのかけ始めでしっかりとレバーを握り、コーナーに差し掛かる辺りではレバーを離していく=緩めている状態。速度を調節するという意味では同じなのに、これまでと違いフロントタイヤにかかる荷重は徐々に抜けていくじゃありませんか!? ブレーキのかけ方を逆にするだけで、ずいぶん恐怖感がなくなったのには驚きでした。
ですが、この“離し側のブレーキング”……最初にガツンッとブレーキをかけることが、慣れないうちはとにかく怖い。鍛錬特集の誌面でもお伝えしてますが、練習は普段の通勤路で直線。赤信号で止まるところから始めました。
……というわけで、もうお分かりでしょうか? ステンレス・メッシュホースだと、握り始めから徐々に離していく=緩めていくまでの時間=距離=レバーの動く量があまりにも少なく、慣れない僕が練習するには難しかったのです。また、ステンレス・メッシュホースに変えブレーキのタッチが良くなると、レスポンスが良くなり過ぎたせいで意外とフルブレーキングすること自体も恐怖感を増長させる原因のひとつでした。
そこで、練習のためにあえて膨張によるストローク量=レバーの動く距離=時間が増えるゴムホースに戻してみたのです。当然、YASさんに言わせると、慣れたらストローク量の少ないステンレス・メッシュホースでもいつでも“離し側のブレーキング”はできるとのこと。
ちなみに、ゴムホースといっても最近のは中身はテフロンもしくは化学繊維メッシュで固めているようなので、膨らむといってもそんなにフニャフニャなワケではないようです。ですが、ステンレス・メッシュホースほどカチカチではありません。スポーティに走ることや上手に走ることにおいて、性能が良いパーツに変えることも重要なポイントだと勝手に思ってましたが、当然ながら僕レベルでは、純正の状態で知る、感じる、学ぶ、そして試す領域はまだまだある……ということ。
では、暖かくなってきたので、ゴムホースの膨張で得た“時間”を有効活用できるよう、今日から再び鍛錬鍛錬!!
※ブレーキホースやパッドの交換等、制動面に関する作業は、自信のないヒトは必ず知識のある人やバイクショップにお願いするようにして下さい。