大人のオートバイチャレンジ その2の前に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大人のオートバイ・チャレンジ アジャスト&セッティング」を熱心に実践しているユーザーさんからのレポート&ギモンを聞いているうちに、ふとあることに気づきました。本来、この本では(…というか、僕的には)、ライディング・テクニックを語ることはしていませんが、少し乗り方にも関わることがわかってきたので、そのことについてお話ししておきましょう。

この本では、オートバイの機械的な構造・仕組みにおける調整範囲の可能性を解説し、それによって“自分好み・自分専用”のオートバイに、自ら作り上げることを薦めています。ところが、件のユーザーさんのお話を聞いていて、前提としている基本的な乗り方に違いがあることがわかり、それによっていまいち理解が進まず、誤解さえも生みかねないと感じたのです。

一体、何がわずかに違うのでしょうか?……オートバイはそもそもどうやって走っているか?……ご存知のとおり、スロットルを開けてリアタイヤに駆動力をかけることで、前進もしコーナリングもしています……ところが、誰でも知っていて、当たり前にしているハズのことにも、わずかな差で機械的な作用としては大きな差になってしまう場合があるのです!? 特にコーナリングにおいては…。

前作「大人のコーナリング」で詳しく解説しておりますが、要はスロットル操作のやり方の話です。

オートバイはトラクション(=グリップ力に基づいた方向性を持つ反力というチカラ)で動いています。これは自転車でも変わらないことですが、勢い(=慣性力)をもったオートバイがコーナリングする時、スロットルを何時、どれだけ開けて、駆動力をリアタイヤに与えるか? で、コーナリング中の内容が変わってきます。

つまり、スロットルを閉じたままにコーナリングしているときは、車体の傾き=バンク角による作用を主体にしたコーナリング状態ですが、スロットルを開けてリアタイヤに駆動力を与えると、リアタイヤのトラクション主体のコーナリングに切り替わるのです。そして、このスロットルOFF/ONの切り替えを、コーナリング中のどこでするか?で、後輪/前輪の働きの割合が変わってきてしまい、今回の本の“リア側からセッティングを始める…”という意味合いもなかなか理解できなくなってしまうことがわかりました。

カンタンなハナシ、多くのヒトがトラクションの意味と効果を、十分理解して活用できていないのではないか、と思われます……オートバイは、スロットル操作によってもっともっと動ける乗り物なんです……どう意味かというと、直進路をフツーに走っている時でさえ右に左に進路を変えるのに。わずかなバンク角+わずかなスロットルONだけで、想像以上にキビキビ進路が変わるくらい、トラクションの作用・効果は日常的なすべてに少なからず関係しているものなのです。

それが、コーナリング=オートバイの向かう方向を変えるのに、相応のスピードとバンク角とスロットルONが必要、と思い込んで錯覚し続けてきただけなのです。そして、その錯覚がレース&レーサー=“速いは上手”信奉を生み、皆そうしなけば上達しない…という錯覚が、長い歴史の中でどんどん拡散してきただけでもあるのです。でも、200km/hを超えるレースシーンでも、5km/hくらいの歩くときの速度においても、技術・エンジニアリングにおいては何も変わりません。

そして、オートバイに乗るユーザー側も、今までに自分の中で積み上がったノウハウ・テクニック・知識も、いま一度ゼロにしてアジャスト&セッティングに取り組んでいただく“キッカケ”に、この“大人…”シリーズをご活用いただければ幸いと存じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『大人のコーナイング」オールカラーA4正寸/1500円(税込)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「大人のオートバイ・チャレンジ アジャスト&セッティング」オールカラーA4正寸/1300円(税込)

 

 

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