次世代“W”ってハナシ、信じてないでしょ?…その2

さて前回は、旧車を旧車らしく思う、旧車の魅力のひとつでもある“ステアリング・レスポンス”についてお話ししようと思ったのですが、そもそもオートバイのステアリングの仕組みをご理解いただいていないと分かっていただけないと思い、急遽オートバイのフロント周りのおさらいをいたしました。

 

リーンウィズで何気なく傾けるだけでも、フロントは曲がる方向に切れ込む=舵角がつくのです。ここに意識を向けると、どんどんわかってくるのが旧車らしい魅力のひとつ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、ステアリング・レスポンスのハナシをしていきましょう。右折でも左折でも、一度オートバイを曲がりたい方へ傾けた時に、その車体の傾きに応じた(=傾けが進まないように=転ばないように)、舵角(切れ込み)が自然につくワケですが、その量・大きさと、つき終わるまでの時間・スピードを、“ステアリング・レスポンス”(=ステアリングの反応)と言います。

「そんなの、分かるわけがない」とか「考えたことも、感じたこともない」という方が大半だと思います。でも、どんなオートバイでも、レーサーだろうがスーパースポーツだろうが、アメリカンやクルーザーだろうが、オフ車だろうが旧車だろうが、必ずセルフステア機能によって“舵角”がつき、それによって転ばずに走っていられるのです。

ただポイントは、みな全て同じ量・角度やスピードではない、ということです。そりゃそーです、それぞれ目的に応じた機能と形に作られたオートバイなわけですから……すごいスピードで瞬時に深々と寝かす必要のあるレーサーと、たいしてスピードも出さずに、わずかに傾けただけで必要なだけ曲がれればいいアメリカン/クルーザーと、同じはずがありません。当然、許容の幅があるにしても、それぞれの目的に応じたカタチに作られている理由でもあります。

さて、旧車と言われ人気のある’60〜’70年代の市販車は、それでもできるだけ多くの要求を実現するべく開発されていることに加えて、レースマシンとは一線を画した開発=レースで必要な要素は盛り込まないところで作られていました。じつは、これが旧車や旧車をベースに作られるネオレトロモデルの大きな魅力だったりします。

一方fで、’60〜’70年代は社会全体が激動の成長期……戦後、まずは“実用”を主眼において作られていたオートバイも、人々の生活の余裕によって“レジャー”の要素がどんどん盛り込まれ、レジャーが定着してきた’70年代には、オートバイの操縦そのものを楽しむ、いわゆる“スポーツ”も重視されるようになってきました。しかも同時に、技術革新によって出力特性の向上、それに伴う車体設計の進歩、タイヤやサスペンションなどの性能向上も日進月歩で実現されてきました。

そうなると、“ハンドリング”の考え方も徐々に変わってきます。実用→レジャー→スポーツ…と方向性を徐々に変更拡大。そうした発展の過渡期に生まれたのが、いま人気の旧車で、ある意味では、最も楽しみの幅が広い、あるいは懐が深い設定がゆえに、いまでも多くの人気を獲得しているのもうなづけるハナシなのです。

またまたいっぱいになっちゃいましたね。大丈夫でしょうか?ご理解いただけてますでしょうか? さて、次回こそステアリング・レスポンスの実態&実感、そして本題のZ650RSのステアリング・レスポンスのハナシに入りたいと思います。お楽しみに!

と、その前にひとつ宿題……いまのって乗っている自分のオートバイのステアリング・レスポンスを実感しておきましょう!……普段の左折・住宅街の路地を抜ける時、車体を左に傾けると、自然に左にハンドルが切れていく…そこに意識してみましょう。最初はごく低速で、いつもよりゆっくりやってみて、その時の舵角の大きさや切れていく時間を実感しておきましょう。意識してできるようになったら、普段どおりの感じでやってみても、意識だけはしていられるようになります。それでは…。

ネオレトロの雄、息の長い人気を誇るW650/800でも、ちゃんとわかりやすい舵角のつき方をします。

 

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