何のためのポジショニングなのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よく“ライポジ(ライディング・ポジション)”の話が仲間などとのバイク談義の中で出てきます。それは、オートバイに跨ったとき、どこに両足をおくか? 両腕はどの位置・角度にあるか?など、いろいろとギロンされますが、大抵は走っていない“静止状態”での姿勢・ポジションの話に終始するのが常です。

もちろん、この“静止状態”の段階で、無理のない+ストレスを感じさせない乗車姿勢を保つことは、基本中の基本として大切なことではありますが、それらが動的に=走っているときに、どんな影響・効果を生むかを意識して、オートバイを走らせましょう! という話でもあるのです。

例えば……オートバイはある程度は(…個々の意識のあり様でも様々ですが)、車体を左右に傾けて、曲がったり向かう方向を決めたりする乗り物ですが、その車体を傾けるための、乗り手=ニンゲンの姿勢や位置がどのような&どれくらいの効果を発揮するかを知っておいて、それを意識して走らせるだけで、オートバイの動きもキビキビして、オートバイに乗ることがどんどん楽しくなっていく、という話なわけです。

そして、これまでよく言われてきた“ハンドルには力を入れない”とか、“ニーグリップ”だの“くるぶしグリップ”だのは、本当は何を意味し何を大切にするための方法論なのか?を、オートバイの構造側という違う角度から意識できるようになるのです。

そもそも……多くの方々がオートバイで走ることは、楽しいとわかっているのに、コーナリングとなるとナゼ緊張し、あるいは不安がアタマを過ぎるのか?……オートバイユーザーの永遠の“ギモン”だと思いますが、僕的に考え抜いた結論は「ニンゲンの日常生活の中で、身体を、特にアタマから上半身を“左右に傾けることがない”」のだけれども、オートバイの運転にとっては必須の要件、となるわけです。

立ってる、歩いている、だけじゃなく、自転車に乗る時も、上半身は重力方向=鉛直方向に沿って、傾けることはない、というのが普段=日常生活だから、オートバイとなると“傾ける”ことが避けられないことを知ってるから、誰もが少なからず“不安感”を抱くのです。でも、そのことが意識できていると、車体と同じように上半身を傾けられると、その効果の大きさを実感でき、それを活かせる位置=ポジションがあることが分かってきます。そして、不要に車体を深く寝かすこともなくなりますし、スロットルONやブレーキングなど、傾けた直後の操作のタイミングもハッキリしてくるのです。

つまり、ポジションはライディングの動的な面のすべてに関わってくるのです。ポジションも見方・視点を変えると、改めてチェックするべきポイントなのです。

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大人のオートバイチャレンジ その4…フロントフォークの迷信!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うっかりしてました、大人のオートバイ・チャレンジの内容解説が途中になっていましたね。さっそく第4章・フロントフォークについてお話ししましょう。

皆さんの多くが、“フロント周りがハンドリングを決めている…”あるいは“ハンドリングといえばフロント周りの挙動のこと”とカン違いをなさっていませんか?……エエーッ!!!!!!! ハンドルバーを手で持つこともあって、“ハンドリング”なんて言葉が“手”による操作とカン違いさせやすいこともありますが、正確には、ハンドリングとは“操作”あるいは“操作による総合的な結果”のことです。

実際に、ハンドルに伝わるフロント周りの挙動は手に伝わるだけあって敏感に捉えられがちで、そのためこれまた多くの方がフロント周りセッティングをシビアに考える傾向にもあります。しかし、フロント周りのセッティングはリア側ほど重要ではありません!!!!……なぜなら、重量的にみれば、エンジンをはじめとする車重の大半に加え、運転している自分自身の体重もリア側に乗っかっているのに対して、フロント側にはその車重+自分の体重の1/3〜1/4しか乗っかっていないわけだし、構造的に考えていくと、フロント周りに設定されているアライメントの関係上、前輪はリア側の動きに追従する(=遅れてついていく)構造になっているからです。

いくらブレーキング(制動)時)には慣性力の働きでフロント側に荷重が移る…といっても、世界GPで見られるような“フロント一輪車”のようなフルブレーキング状態になることはまずはないですし、そうでもしないならばリア側にもちゃんと荷重は残っているものだから、まずは運転手の“自分”が乗っかっているリア側のほうが大切なのです。

だから、フロント周りは操縦・運転に支障がない程度にしてあれば、まずはリア側を思いどおりの状態・セッティングにしておくことが重要なのです。そしてその後に、敏感にも感じていたフロント周りのセッティングをすればいいだけのことなのです。

その時に重要なことは、フロント周りといっても、フロントフォーク=サスペンション”+タイヤからできているので、リア側の第1章・サスペンションの話と第2章・タイヤ、の内容に関してはそのまま違いがありませんので、まずはしっかりと踏まえておいていただきたいのです。

その上で、フロント周りにはさらに“2つ”の要素・ファクター”を加えて考える必要があります。その1つは、フロントフォークの大半がスプリングまで内包する密閉型サスペンション構造のため“空気バネ(エアスプリング)”の効果が加わる=利用できること。そして2つめは、“前輪は車体(リア側)に追従する車輪”とするための構造=アライメント=キャスター&トレールの効果が加わる=利用できること……この2つのことを知って“自分好み”を追求することにおいてさらに明確に、手の敏感さにも幅広く対応できることを覚えておいてほしいのです。

ところこれまで、この辺りのこととなると“迷信”なるものが、特にネット環境が普及&充実してくるにつれ、まるで“雨後の筍”のようにニョキニョキと出てきて、マコトしやかに語られるようになっているのが現状のようです。その代表格が“Fフォークを突き出すことでキャスターを立てる”ということと、その狙いが“クイックなハンドリング”という2つ……いかにも、言葉アソビから生まれた迷信のニオイがします。

まず、Fフォークの(トップブリッジからの)突き出しはそもそも狙いが違います!!……本当の狙いと効果はFフォーク・セッティングの結果ののちに、フロント周りの高さ・位置を合わせる=車体の前後姿勢の調整が主目的で、キャスター角を変える効果は大して得られません。考えてもみればわかることですが、ホイールベース(軸距)1500mm(=1.5m)前後に対して、5mm前後の突き出しでキャスター角が何度変わるのか?…0.1度も変わるかどうか⁇⁇…まず変わらないでしょう。

しかし同じ5mmでも、大きな効果を発揮するのが、フロント周りの高さの違いと、トレール量の変化なのです。“フロント周りの高さ”は、ハンドリングの土台となる軸=後輪の接地点からフロント周りに向けた軸=車体が向かう方向(=ロール軸)を決定づけ、さらに、ハンドリングに大きな影響を及ぼすエンジン高=クランク位置=重心位置が変化するので、数mmのフロント周りの高さの違いがとても重要なのです。

しかも、キャスター角が大して変わらなくとも、トレール量の数mmの変化は、フロントのステリング・レスポンスのフィーリングを大きく変化させます。カンタンにいえば、キャスター角の(ごくわずかな)減少=トレール量の(大きな)減少=舵角(車体が傾いた時に前輪が切れ込む角度)の減少がセットで同時に起こるわけです。

ココにもう一つの“迷信”が生まれているのですが、舵角の減少=クイックなハンドリング、というカン違いです。

ハンドリングがクイックになる、というのは、車体が向かう方向を素早く変更・変化させること。舵角が減ることで、舵角が付き終わるまでの時間が短くなることが、車体の向きを素早く変えることにはならないからです。舵角の変化が少ない&早い=クイック…とはならないという話です。

とまぁ、フロント周りには、誰でも自分の神経が敏感なだけに、色々な挙動を神経質に捉えがちで、それが故にモノゴトを冷静&論理的に判断できず、さまざまな“迷信”が生まれてきました。そして、そうだと信じきって何十年、という方が意外に多くいらっしゃいますが、ここらで一回知識と感情を整理して考えてみませんか?

そんな本ですので、今からでも遅くないので、ぜひトライしてみてください。

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大人のオートバイチャレンジ その3…タイヤ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、第3章は“タイヤ”です……そう、みなさんが一番よく知っているつもりで、アタマでっかちになりがちな最重要機能パーツでもあります。

バイアス/ラジアルの違い、なんてことがよく議論・談義されますが、その仕組みや内部構造の知識はいろいろな本・雑誌で取り上げられ、少なからず知識を持っていらっしゃるオートバイ・ユーザーの方々をよく拝見しますが、それらを使い込んだ際の効果を実際に体感されている方々は少ないように思われます。

ということは、スーパースポーツに標準装着されている太いワイドラジアルどころか、最近人気の旧車のほとんどが装着している細い“バイアス”タイヤの使い勝手・効用を深く理解されている方もまた少ない、とも言えるのではないでしょうか。

まずラジアルタイヤの方から簡単に解説しておきますと、ラジアルタイヤは基本的に“高速・高荷重”領域で効力を最大発揮する構造で、見ても分かるように大きなR(半径)のプロファイル(断面形状)を持つのも、高速高荷重時にトラクションによる運動性(…タイヤへの入力に対する旋回性や反応速度)を安定して得るための内部構造と形状でもあるのです。ですので、低速・低荷重領域ではRが大きく太い分その反応が鈍く重く感じたりする上に、車体=タイヤを傾けたときには、自分自身がタイヤの芯に乗っている感じが得にくくなったりもします。

その一方で、細い“バイアスタイヤ”は日常的な走行=低速・低荷重領域から僅かな入力・操作に対して反応もよく、わずかな車体=タイヤの傾きでも効力=運動性を発揮することを実感しやすくもあるのです……この違いは、ラジアル=トラクション依存型/バイアス=バンク角依存型、という基本の性能・性格によることを覚えておきましょう。その上で、どちらにもそれぞれの性能・性格にオーバーラップするように設計されていて、タイヤのメーカーや銘柄によって、それぞれに込められた技術開発の違いが現れている、というものなのです。

そうした2つの性能・効力を持っているのがオートバイ用タイヤの基本であることをしっかり覚えておきましょう。そして、もう一つ!大きな勘違いをしているのは“トラクション”曲がるためだけのチカラではなく、推進力の大元・基本でもある、ということです。詳しくは本紙の第3章で……。

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