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締め切りが終わり、3月24日には次号のストバイ190が発売されます。一息ついたとこですが、ここんとこ季節の変わり目のビミョーなことで行ったり来たり…W3のキャブ・セッティング…気にしだすと超細かいコトが気になって気になって。切りがないことは分かっちゃいるケド、ヤメられなくなっちゃうんです。

これはキャブの中にあるジェット・ニードル、通称“ハリ”ですが、ちょっとした迷路にハマって、このハリの高さを変えるEクリップの段数を3段目(標準)にするか4段目(濃いめ)するか……その差は0.5mmあるかないか。キャブのベンチュリー径(メインジェットからガソリンが吸い出される部分の吸入通路径)がφ28mmだから、そこで動くハリの高さの違いは1/56……ハリが抜け出してくるキャブ側のニードル・ジェットの孔と、ハリの太さとの差(隙間)から霧状に吸い上げられるガソリンの量を、増やしたり減らしたりするためにテーパー状のハリの高さを変える。そのためにEクリップの位置を変えるのだけど、0.5mm高さを変えたところでハリの太さと孔径の差が0.5mmも変わるわけでもない。なのに、乗り味はガラリと変わってくるからマイッちゃうのです……オートバイという機械には、大胆さが必要なところもあれば、髪の毛ほどの繊細な部分もあるから、ふーむ、深いわけですよ。

オトナが通う新たな“塾”

毎週末W1乗りが集まる神奈川・厚木某所で、この週末“火入れ式”なるモノ(…集まる口実?)が行なわれるというので、関東のアチコチや近郊、静岡からもW1乗り&W1好きが駆けつけた。じつは、ココのご主人は発売当初からのW1乗りで、自宅敷地に“W1工房”なる整備場を設け、さまざまな工作機械も入れ、これまでも何十台と整備・修理・組み立てをしてきた。そこにひとりのW1乗りが弟子入りのような形で通い、師匠の指導のもと自分のW1Sをフルレストア。その確かさや調子の良さ、それ以上に場の雰囲気の良さや楽しさで、毎週末には多くのW1乗りが通う場所になっていったのです。そして、このたび2名の新弟子が入り、自分が乗るW1をそれぞれに仕上げ、いよいよエンジン始動の日を迎えました。

さて、いよいよ、高みの見物に駆けつけたW1乗り15名ばかりの前で、W1エンジンをかけ慣れない新人2人がキック!! 案の定、1発では火が入りません。アセアセしてキックしまくる姿に、ウルサがたの諸センパイ方も、いよいよ「オカシイぞ」と口や手を出し始めます。それで1台は無事にようやく火が入ったものの、もう1台はトラブルの気配…最初は遠巻きに笑っていた師匠も険しい顔で乗り出します。用意された餃子パーティもそっちのけで、大人のW1乗りたちが2台のW1を囲んであーのこーの。「こーゆーとき、一気に年齢や上下の関係無しになれるトコが男の子らしい一面だね」とは、女性のW1乗りの方の弁。原因追及の結果、ギボシの接触不良とわかり、一同ひと安心…というより、もうその頃には餃子もなくなり、各自の試乗なり自慢話なりW1談義に華が咲きまくってました。

いよいよ師匠も加わっての原因追及会議。新弟子(帽子)アセアセ。

僕も何台かのW1を試乗させていただきました。同じでも違うW1、とはいっても同じ楽しさのW1 / photo by Yashuhiko Naruse

陽も傾き客人を送り出したのち、帰ろうとした1期生のW1SがW1工房の近くでエンコ。早速、軽トラで引き上げてきて、師匠&塾生のみで暗がりでの修理…これまた配線トラブルが原因「電装関係の教え方、甘かったかなw」と師匠。こうしてオトナが通いたくなるW1塾の週末は暮れていきましたとさ。

詳しくは、3月24日発売の次号ストリートバイカーズで!!

 

“自分流”のオートバイを作る!?

今日は東京・杉並のとあるディープなオートバイ屋さんを訪ねた。もう60代後半にもなるココの店主は、僕とはもう四半世紀の付き合いで、僕のことをずっと“師匠”と呼んでくれる方、「弟子は設けませんよ」と言ってるのに。さて、この店主とはいつもいろいろな話をして6時間をゆうに超えることが当たり前。そんな中で彼が「最近になってようやく、“自分のオートバイを作る”楽しさが分かってきて…」と言う。もちろん、今乗っている走行16万キロにもなるスポーツスターを、カスタムするという意味などではない。年々変化する自分の乗り方、タイミングやリズムに、いつもピッタリあったオートバイにしていくことが、ここへきて何より楽しい……これまでも、他の人が考えもしない独自の追究によって、オリジナルパーツまで開発・販売したきた彼が、今になってさらに“自分流”のスポーツスターに仕上げる、微に入り細に入る設定の追究が楽しくてタマラナイというのだ。オートバイという乗り物は、どこまでニンゲンを深めてくれるのだろう。

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