[SR500F.I.]残念ながらブレーキドラムも消耗品!? その1


噂には聞いていて、ずいぶん前からなんとなく感じてはいたけれど、実際に目の当たりにするとかなりツライ……非常に残念なお知らせですがSRのブレーキドラムは消耗品……でした。

そりゃブレーキシューとの摩擦熱で制動力を発揮しているのだから長い目でみれば消耗品かもしれませんが……4〜5万キロの走行で「もう使えない」ほどブレーキドラム側が減ってしまってはなかなかツライわけです。

というのも、ブレーキドラムが使えないとなるとハブを交換するしかないから。約3万円のハブに加え、ホイールベアリング代(×3)にタイヤ&リム(スポーク)の脱着工賃……どれだけ良心的なショップでも最低でも軽く片手は超えてしまう。おまけに4〜5万も走るヒトなら当然それ以外にもメンテ箇所はあるハズ。となると……コレはなかなかツライどころか、かなりキツイ出費となるのです。

「なんだかオカシイぞ」と気づき始めたのはもうずいぶん前のこと。2万5000キロほど走行したあたりで、通常どおり磨耗したブレーキシューを新品に交換したらブレーキのタッチがワルくなった!? のです。シューとドラムが当たった時にブレーキペダルから足に伝わってくるカチッという感触がどれだけ強く踏んでも伝わってこない。それどころか、ブニュッやグニャッという感触とともにどこまでも踏み込めるような感覚……当然、効きもワルい。

4万5000キロほど走行したリアハブのブレーキドラム。ドラム部分は目視でもはっきりと段差がわかるほど凹んでいる。

原因はブレーキドラム側が使用していたブレーキシューの幅に合わせて摩耗し凹んでしまっていたから。組み付けた新品のシューが取り付け位置も含めて、摩耗したその凹みにピッタリと合うワケはなく、そりゃブレーキペダルをいくら踏んでも一向に“面圧”が低いままでタッチも悪けりゃ効きも甘い……というワケです。

それでも当時はまだ凹んだ摩耗具合もそれほどひどくなかったからか、何度かシューを組み直すと偶然その凹みにハマるのか、ある程度元通りのタッチと効きを取り戻すこともありました。ところが!? その次のシュー交換時、走行距離が4万も超えてくると、もはやブレーキドラムは2mmはあろうかというほどの段差ができるほど摩耗していて、もはやシューを何度組み直してもまるでダメ。仕方なく応急処置的にシューを幅が細くなるように削り、かろうじて走れる状態にしましたが、当然ながらタッチ&効き具合の改善とはいきません。

長年SRばかりを整備・研究している大阪モーターワークス・イマムラの今村さんはずいぶん前からこのことに気がつき警鐘を鳴らしていましたが、このブレーキドラムを異様に減らす犯人はノンアス仕様になってからのブレーキシューでした。どうやらSR(他のヤマハ車も!?)のブレーキドラムとノンアスベスト仕様のブレーキシューの相性が悪いようなのです。その証拠に、イマムラさんはノンアス仕様のブレーキシューが採用される以前は、SRで異常に摩耗するブレーキドラムは見たことがないといいます。

前後ワイズギア製キャストホイール(F/Rともに18インチ)へ交換後、しばらくしてFホイール19インチ化に伴い、フロントのみスポークホイールだった頃。

約10万キロ走っている僕のSRで、どうして今頃こんなハナシをするのかといえば、さっき書いた2万5000キロ〜3万キロ走行のあたりで前後ホイールをワイズギア製のキャストホイールに交換していたからでした。しかしながら当然キャストホイールだからといってブレーキドラムが減らないワケはなく、やはりその後3万キロほどの走行で同じことが起こりました。その後、検証のためにもう一度新品のキャストホイールを装着し、それでも同様の走行距離付近で同じことが起こり、当初付けていたスポークホイールを付け直し、それから1万キロほどダマシだまし走行し、つい先日いよいよ使用不可能な状態に達しハブ交換となったワケです。

その都度、当然メーカーさんにも報告していますが、僕のような事案は各ディーラーやショップからも上がってきていないとのこと。たしかにブレーキの使い方や走り方によっても摩耗具合は違うため、一概に距離だけで測れるモノではありませんが、制動力だけではなく減速時の車体の安定にも寄与するリアブレーキは、ブレーキングの基本中の基本。多用するのがアタリマエというか多用した方が何かといいのです。

教習所ではフロント7割、リア3割なんて教わった記憶もありますが、混合交通下の街中でもスポーツ走行時のワインディングでも、キャンプ場等の不整地でも……あらゆる状況で安心して楽しく走るためには“リアブレーキ主体”がゼッタイです。感覚的にはむしろ「フロント3割、リア7割」です、ホント。

なので、ブレーキドラムが減るからといって、リアブレーキを使わないワケにはいきません。ノンアス時代のブレーキシューを使うのもひとつの対策ですが、手に入れるのはほぼ不可能。非常に残念ですが、もはやSRを長く乗り続けるためには、ブレーキドラムへの攻撃性が少ないシューの登場を待ちながら、ハブ交換貯金をするしかありません。


ちなみにこちらは交換用に購入した新品リアハブの未使用状態のブレーキドラム。

こちらが約4万5000キロ走行したブレーキドラム。写真をクリックし大きくしてもらえばその摩耗具合に驚くはずです。いや、そんなことよりブレーキドラムというモノは果たしてこれほど減ってもいいものなのでしょうか!? なんだかブレーキシューと同程度で減っているような気さえしてきます。百歩譲ってハブの価格はいいとしても、やっかいなのはディスクローターのように交換が容易じゃないこと。

SR自体が生産終了したいま、今後ブレーキドラムの材質が改善されることはないと思うと、アフターパーツメーカーさんも含めてせめてブレーキシューの素材改良を願うところです。困るのは、ブレーキドラムが摩耗するからといってSRを降りる気にはサラサラなれないところ。いずれにしても、「ブレーキシューを交換したらブレーキのタッチがワルくなった」なんてヒトは、一度ブレーキドラムのチェックとともに貯金のスタートをおすすめします。

続く。

オートバイタイヤ専門店 Griff


先日SRのリアのタイヤ装着をお願いしにきた、横浜・荏田にある二輪(四輪も)のタイヤ専門ショップGriff


ココは、いつもタイヤ交換でお世話になっている東京・世田谷SPEED STARの立ち上げスタッフの一人、岡村さんが5年前に独立したショップ。基本は二輪(オートバイ)ですが、荏田という立地を生かした広い店内では四輪のタイヤ交換も可能とのこと。スピードスター時代から変わらない安心の作業は、素早く見ていて絶対の信頼感があります。


二級整備士免許とともに長い経験をもつ岡村さん。オートバイだけじゃなく自転車も含めたノリモノ好きのため、いつも色々なバイク話で盛り上がります。

 


Griffおすすめです。お近くの方はもちろん、タイヤ交換で困っていた方はぜひ。

[SR500F.I.]スイングアームのグリスアップは、優しく、丁寧に。


長年放置された中古車両やノーメンテのSRだと、スイングアームのピボットシャフトが固着して抜けず、最悪スイングアームを切断……なんてハナシも聞く、SRのメンテポイントの鬼門!? でも知られるスイングアームの潤滑。


そのためピボットシャフトには定期的なグリスアップが必要なワケですが、何も考えずにグリスガンでガンガン入れていると、いつしかご覧のようにオイルシールがムニっと出てきてしまいます。じつは3〜4年前からこの状態でしたが、しっかりグリスが充填されているならまぁいいか、見えないし……と放ったらかしでした。昨年末あたりからちょっとリアホイール周りでトラブルがあり、きっちり修理することになったので、ついでに重い腰を上げて12年目にして初めてスイングアームもバラしてみました。


シャフトはスルッと抜けてくれてひと安心。シャフトの中もグリスがたっぷり詰まってました。車検ついでの2〜3年に一度のグリスアップでしたが、メンテした甲斐がありましたね。


しっかり潤滑されている状態でブッシュもスルッと抜けました。



ブッシュの中をピボットシャフトが通る構造で、その間をグリスで潤滑するためにそれぞれにグリスの通り道となる孔が設けられています。それにしてもピボットシャフトもブッシュも、洗浄するだけで新品のようにキレイな状態になりました。定期的なメンテは大事、を痛感しますね。

 


ブッシュを受ける両端のニードルローラーベアリングもキレイなグリスがまだたっぷり。ベアリングを外した状態も良好です。



とここで、最初の写真。構造から考えると、オイルシールがこのような状態になるのは相当グリスを入れ続けた結果だということがわかります。

■ここでグリスの通り道をおさらい
①ピボットシャフトの端からグリスガンで注入。

②ピボットシャフトの孔を通ったグリスがピボットシャフトとブッシュの隙間を潤滑。

③ブッシュの孔を通ったグリスがブッシュとスイングアームの隙間や、ブッシュを受けるベアリングを潤滑。

④それでもなおグリスが注入された結果、行き場を失ったグリスがブッシュとベアリングの隙間から溢れ出し、オイルシールを押し出す……

という流れ。もう完全にグリスを注入し過ぎ。たしかに「反対側からニュルッと出てきたらOK」とわかっていても、構造を知らない頃はとにかく見えない部分だからと、必要以上にグリスアップしていたかもしれません、反省。


ベアリングの脱着作業は、いつも頼りになるClassic Cycle Tokyoさんにお願いしました。いずれにしても定期的なメンテナンスは、オートバイにも財布にも優しい!!

スイングアームの潤滑は、「車検ごとに丁寧に“優しく”グリスアップ」が大切です。

 


BRAT STYLE USAブログから拝借したアメリカ仕様の初期SR500。デッドストックに近い!? 状態。いい雰囲気です。

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