[KZ1000]求めたのは「GT」な4 in 1 !? それにしてもエキパイの細さがイイね!! その3


前回の続き。

■求めたのは「GT」な4 in 1マフラー →その1

■求めたのは「GT」な4 in 1マフラー →その2


集合マフラーを探し始めた理由は、純正マフラーの性能への不満ではなく、一番は「重たさ」。二番目の理由は「ノーマルがあまりにも静か過ぎた」こと。いいペースで走っていれば気にならない「重量」も、通勤中の都内のノロノロ走行時や荷物満載のキャンプツー等になると、その重さが地味に効いてくる。その結果、KZは絶好調でも、その重さが億劫になりついついSRの出番が増えてしまう。用途によって使い分ければいいのかもしれないけど、気持ちとしては2台ともそれぞれの特徴を生かしながら、どんな使い方でも気持ちよく乗れる状態にしておきたい。

二番目の「静かすぎる」は、KZの純正マフラーは静粛性としては素晴らしすぎるほど本当に静かで、それはそれで特に不満があったわけではないのだが、ここ1年ほどやたらと速い電動チャリや電動キックボードが、まるでバイクの存在を認識してくれず突然路地から出てきて、何度か怖い思いをしたことがあったのがその理由。


そうした理由から探し始めた集合マフラーではあったものの、じつは僕は’70〜’80年代の4気筒系集合マフラーについてはほとんど無知。さすがに当時のスーパーバイク・シーンでも名を馳せたKERKERやヨシムラの存在は知っているけどまるで詳しくないし、それ以外の社外メーカーからはどんなマフラーが発売されていたのかなんてさっぱりわからない。おまけにKZのカスタム・コンセプトは「GT感」。レーシングイメージのブラックに塗装された集合マフラーや、国内のショップやメーカーから多数リリースされているいわゆる”ショート管”シリーズも、残念ながら僕のコンセプトからは外れてしまう。

条件は、メッキであることと、メインスタンドが装着できること、そしてそれほど音が大きくないこと。この”音が大きくない”にはもう一つ重要なポイントがあって、それは、高回転時の抜けの良さよりも、中低速のトルクが痩せて欲しくないということ。それでいて重低音の効いたやや上品なサウンドであれば、それは僕にとってまさに理想の集合マフラー……なんて、知らないくせに要望だけはたっぷりあるもんだから、自分でも探すのが面倒になることもあり、ずいぶんとスローペースで探していたのだった。

 


候補に挙がったのは、バッフルをしっかり装着したKERKERのメッキシリーズ。もしくはVANCE & HINES。ともにアメリカン・メーカーという部分はGOODだけど、KERKERはやはりレーシング・イメージが強いし、VANCE & HINESは僕にとってやっぱりハーレーのイメージ。それにそもそもどちらもけっこうなお値段。少しでも迷いがあるうちは当然ながらなかなか踏ん切りがつけれない。

そんな矢先にネットオークションで見つけたのが、このMARSHALLというメーカーのマフラーだった。極めて美品でかなりお得なプライス。しかも前オーナーは同年式のKZ1000へ装着していたようで、幸いなことにボルトオンなステー付き。装着した時のフォルムやラインは限りなく純正と似ているし、もちろんメインスタンドも装着できる。メッキの状態も良く、価格も含めて僕にとってはこれ以上はないマフラーだったのだ。「Deeptone」って商品名もなんだか期待させるじゃない、と落札前からワクワクが止まらなかった。しかし、そもそも当時の集合マフラーの知識がない僕には、一体マーシャルとは? な状態。

 


MARSHALLと聞いてまず浮かぶのはイギリスのギターアンプのメーカー。検索ついでにもうひとつヒットしたのは、これまたイギリスで古くからある四輪関係の大きな企業だった。

じつは「MARSHALL EXHAUST」では肝心の情報はほぼ出てこなかった。一件だけ英国のバイク系webサイトで、’70〜’80年代の英国製マフラーを紹介する記事があり、その中でチラッとマーシャルの名が登場していたくらい。その記事によれば、「マーシャルの4in1システムは、排気音は、Deeptoneの名に恥じない素晴らしさを誇り、すぐダメになる日本製の純正マフラーの最良な代替品だった」と、ちょっと期待させてくれる反面、だいぶ英国プライドが見え隠れする内容でもあり、その真偽は半信半疑。さらに「マーシャルは英国メーカーといってもその名前とは裏腹に、実際の製造はイギリス製ではなくオランダのJAMA/LASERグループだった」と。他国生産はよくあることとはいえ、モーターサイクル発祥の国イギリスには、日本メーカーにやられ放題やられていた’70年代であっても、まだ数々の自国製の素晴らしい部品があったと言いたげな記事で、結果的に肝心のマーシャルのマフラーの情報はほんのひと握りしか掴めなかったのだった。


それはさておき、編集部に到着したマフラーはもうびっくりするほどキレイで、まずは脱脂しメッキングを施し24時間放置。唯一サビが出ていたマフラーエンドは耐熱ブラックで塗装した。キレイにできたと思っていたら、向かって右サイドが少しプツプツと浮いていたけど、まぁ誰も見てないからヨシとしましょう。

その4へ続く。

[KZ1000]求めたのは「GT」な4 in 1 !? それにしてもエキパイの細さがイイね!! その2


前回の続き。

■求めたのは「GT」な4 in 1 !? それにしてもエキパイの細さがイイね!! その1 は→コチラ

2018〜日本にやってきて登録を済ませた直後。

KZは基本的にノーマルルックのまま。その中でサスペンションを調整・交換したり、Fホイールも重たいキャストからスポークに変えたりと、自分が乗りやすいように少しずつ改良してきた。乗り始めた頃の2018年はまだストバイが存続中で、連載ページでは「目指せE.ローソン(ハンドリング&車体セッティング)」をテーマに進めようなんて目論見もあり、いま付けているスプリングの上下をイエローで塗装したIKONサスペンションは、ゆくゆくは販売も見据えた実験でもあった。

スポーツ・ライディングでもツーリングでも、自分にとってどれだけ扱いやすく、そして使いやすくできるかがカスタムの大事なポイント。で、それとともに楽しんでいるのが見た目での「GT感」の追求。その1でも書いたとおり、輸出専用モデルでもあった1977年のKZ1000はオリジナルの状態で十分「GT」ではあるのだけれども、そこはちょっと自分流にしたい……というのは、世代でしょうか。

 


てなワケで、「1980年頃に中古でKZ1000を手に入れたアメリカの若者が、E.ローソンのライディングに憧れつつも、普段の移動手段でもあり存分にツーリングだって楽しみたいと、”アメリカ人感覚でGT感”を追求していたらどんなKZにしているだろう? 」がコンセプト。

憧れた時代に、もし自分がその場にいたらどうしていたか!? どんなパーツをチョイスしてどんなオートバイにしていたか!? こう考えると、”時代感”という制約はあれど、正解は自分の中にしかない上に可能性は無限大。

 


以前ブログでも書いた「純正ルックでのリアウインカーの後方移設」も“快適な長距離移動”の(サイドバッグ等の装着のゆとりを確保する)ためだし、ヘッドライトケースやメーターケースのメッキ仕様もGT的ゴージャス感の演出。いずれはRサスペンションもIKONのフルメッキかなぁ、なんて考えている。

……てな勝手なコンセプトのせいで集合マフラー探しはなかなか難しかったのでした。

その3へ続く。

 

[KZ1000]求めたのは「GT」な4 in 1 !? それにしてもエキパイの細さがイイね!! その1


ついに集合(4 in 1)マフラーに手を出してしまった。


KZ1000に乗り始めたのは2018年の初春。その頃はもう何年もSRで純正マフラー生活を送っていたこともあって、排気音はむしろ静かな方がいいとまで考えるようになっていた。それに当時ストバイ誌面で推していた「GT感」においても、KZ1000の左右に伸びるメッキ・メガホンマフラーのゴージャスな雰囲気はまさにソレで、気に入っていたのだった。

2012年3月号のストバイ。特集タイトルは「sense of GT」。W1乗りとCB750乗りの知り合いを誘い、真冬の道志でスタイリングまでして撮影した一冊。要するに、やることなすこと早過ぎた……は、言い過ぎ!?

「GT感」は2012年に新しい提案として僕らが付けた呼称だが、そもそも「GT」とは「Grand Touring(欧州ではグラン・ツーリズモ)」の略。1960〜70年代の欧米で流行した新しい4輪の価値観に端を発したキーワードで、カンタンにいえば、200〜300キロなんてあっという間、例えば休日にコーヒーを飲みに軽井沢あたりまで軽々と走ってしまう……そんな頼もしい排気量とラグジュアリーな乗り心地をもち、さらに道中のワインディングではスポーツ走行だって楽しめる……そうしたクルマでの新しい余暇の過ごし方を提案した価値観だった。

1970年モデルのダッヂ・チャレンジャーは、お世話になっていたブランドANDFAMILY游さんがオーナー。この時の話もほんとにいい内容。まだの方、読んでおいた方がいいですよ〜笑

1960〜70年代のマッスルカーのメーカーカタログをイメージしてスタイリング。タートルネック(トックリ)がGOODです。

いわゆる実用から趣味のクルマへと発展していく過程で生まれた価値観で、当然スタイリングもゴージャスかつスポーティ。2012年3月号のストバイでは、1970年モデルのダッヂ・チャレンジャーにも登場してもらったけど、そのデザインは今見てもスタイリッシュだ。

で、そうした“GT感覚”を、排気量でもエンジン特性でもスタイリングでも追い求めた最初の国産オートバイが、カワサキW1でありホンダCB750だった。残念ながらW1はアメリカ大陸において「遠くまで快適に」という部分でキビシい部分もあり当時対米輸出は失敗に終わったものの、カワサキはその後のZシリーズで見事に面目躍如。

何が言いたいかといえば、「スピードが出るのに出さない」ことと「スピードが出なくて出せない」は違うということ。大排気量エンジンが生むトルクの余裕を感じながら、自分が気持ちいいと思うスピードで走る快感……フト気がつけば、景色を見ることすら忘れてエンジン・フィーリングに浸っている。で、あっという間に目的地。そうした欧米生まれの新しい感覚・価値観でW1やCB750、Zシリーズを見直してみようという特集が、当時の「sense of GT」。

というわけで!? 前置き長過ぎのため、「求めたのは”GT”な4 in 1 !? それにしてもエキパイの細さがイイね!!」は、その2へ続きます。

 

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