先週の関西ツーリング、帰路の後半、浜松あたりからはずっと雨で久しぶりにカッパを着て長時間走りました。レインウェアはもう7〜8年使っているワイズギア製。すでに現行ラインナップにはないモデルですがまだまだ使えています。その秘訣は、じつは数年前に知った「レインウェアも洗濯」することでした。
昨今のオートバイ用のレインウェアは、最新アウトドア系ウェアと同様にゴアテックスに代表される防水・透湿性に優れた特殊素材をベースに、表地や裏地(または両面)にさらに特殊な生地を貼り合わせた“レイヤー”仕様が主流。とくにちょっとお値段高めの3層(3レイヤー/両面)仕様は、高い防水・透湿性を確保しながら裏地に昔ながらのメッシュ素材を付けなくてもサラッとした着心地を実現してくれるスグレモノ。
こうしたレインウェアの機能が低下する最大の要因は、ハードに使うことではなく、“付着した汚れをそのまま放置する”こと。じつは毎回の洗濯を推奨するメーカーもあるほど、一度の使用でも目に見えない汚れは付いてしまうとのこと。
だからってしょっちゅう洗濯するのも面倒なので「気がついたら……」な頻度ですが、振り返るとここ半年ほど洗ってなかった上に雨の高速走行……というワケで、久しぶりに洗濯しました。
僕が使っている洗剤は特殊生地の防水・透湿性を損なわないというモンベルの専用洗剤。ヒドい汚れの箇所には直接クリーナーを塗布。ジッパー等は閉めて洗濯ネットに入れてソフト洗いで、すすぎは入念に。ちなみにすすぎ残しは撥水性の低下の原因にもなってしまうそう。
洗濯後の理想は風通しの良い場所での陰干し。写真は以前ストバイ誌面用にガレージで撮影したモノですが、こんな場所自宅にはありませんので、普段は曇りの日を狙いベランダで干してます。また洗濯表示を確認し乾燥機がOKであれば乾燥機もおすすめ。というのも、じつは乾燥後の熱処理が重要だったりするんです。
乾燥機での乾燥が行えない場合、乾燥後、じつはレインウェアにアイロンをかけることが必須。じつは昨今のレインウェアの撥水の原理は、生地表面に付く超微細な“撥水基”と呼ばれる突起が水を弾くことで水分が生地内部に浸透せず水滴なり転がり落ちること。
超微細な突起(凸凹)により水を弾く原理のルーツはなんと蓮の葉!? なんでも蓮の葉には微細な突起があり、それぞれの突起の表面にはさらに微細な突起があることで、大きな水たまりを作るほどの撥水力を発揮しているのだそう。
レインウェアの撥水性が低下するのは、使用による汚れや擦れで生地表面の撥水基が倒れたり曲がったりするためなんだとか。ところが、熱を加えることで撥水基が熱源方向に向き、繊維表面が再度撥水基で均一に覆われ撥水性が回復するのだといいます。写真を見てもらえばその違いは歴然。
とはいえ長年使用し洗濯頻度も適当……な僕のレインウェアでは熱処理での撥水性の回復は新品に比べればずいぶん劣ってしまっています。というワケで、仕上げは撥水スプレー。フッ素系樹脂を中心とした化学物質を吹き付ける撥水スプレーは、生地表面に撥水基と同様の微細な突起物を作るため、水の弾き具合は明らかに増しました。
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ひと昔前はワゴンセールのカッパを使い捨て……それが当たり前でしたが、今やレインウェアも高級な時代。とはいえ、高いからといって使いっぱなしでは機能は低下するばかり。でも高かったし……と使い続ける。正直、数年前までそんな感じでしたが、レインウェアもメンテが大事!? なんてことを知ってからは、ちょくちょく洗濯するようにしています。とはいえ、テキトーなんですけどね。