[SR500F.I.]勝手に追求シリーズ!? “SRリア・アクスルナットの歴史”〜アクスルシャフト締結、トルク管理していますか?


写真は、約40年の間にじつは“3種類も存在していた”SRのリア・アクスルナットの3兄弟。

[左]1978〜1996までの回り止めコッターピンを使用するキャッスルナット
[中]1997〜2003までのフランジ付きセルフロックナット
[右]2004(2001)〜からのセルフロックナット+ワッシャー

SRのリアのアクスルナットが3種類もあったなんてご存知でしょうか!? 僕はコッターピンを使うキャッスルナットと自分の2010年式SRに使われているセルフロックナット+ワッシャーは知っていましたが、[写真中]のフランジ付きセルフロックナットの存在は知りませんでした。

というワケで、今回の“勝手に追求シリーズ”は、おそらくSRユーザーでも興味ないヒトが多数であろうリアのアクスルナットの変遷の歴史について、勝手に考察したいと思います。。

 

車体から抜いたアクスルシャフトをチェーンアジャスターに通し始めた状態。普通はスルスルと通るのですが、この状態からシャフトは動きません。

コトの発端はこちら。
この部品はSR乗りの方なら分かると思いますが リアのアクスルシャフトと車体左側に付くチェーンアジャスターです。なぜこんな写真を撮ったかというと、通常スルスルと通るハズのアクスルシャフトとチェーンアジャスターのはずが、写真の状態ですでに引っかかりを感じるようになってしまったからです。

じつは4〜5回くらい前からホイールを外す時に「なんだかアクスルシャフトが抜けにくいなぁ(スルスルと抜けてこないなぁ)」と感じることがあったのですが、どうやらチェーンアジャスターが歪んでしまったようで、目視では分かりづらいのですが、アクスルシャフトが通る穴位置がわずかにズレてしまったようなのです。


上の写真は車体から外したアクスルシャフトとアクスルシャフト取り付けに必要な部品。一見、特に問題ないように見えますが、よく見るとシャフト以外の各部品は驚くほど変形・摩耗していました。2010年に新車で購入し丸11年、そして10万キロを超える走行距離を振り返ると、タイヤ交換から各部整備のためのリアホイール脱着回数は数え切れません。というわけで、各部しっかりチェックすることにしたのです。

[上]新品。[下]使用した期間は今年で丸11年、走行距離は10万キロ、それこそリアホイールの脱着は何回したか数えきれませんが、数十回にはなるかと思います。

写真は車体左側に使用するチェーンアジャスター。[上]が新品で[下]が使用していたモノ。アクスルシャフトの“アタマの部分”が当たる“外側”が、アクスルシャフトのアタマの径(大きさ)に合わせて見事に1mmほど凹んでしまっています。そしてどうやらリアホイール脱着の際にアクスルシャフトが抜けにくくなる原因(アジャスターの歪みによる穴位置のズレ)を作ったのがこの凹み……

※写真のチェーンアジャスターは新品。

通常アクスルシャフト締結時はこのような状態。アクスルシャフトのアタマ部分とチェーンアジャスターの間にワッシャー等は使用しません。じつはここ数回リアホイールを外す時に、シャフト締結時の締め付けによるチカラで変形したこのアジャスター・プレート部の凹みにアクスルシャフトのアタマが“噛み込んで”しまい、アクスルシャフトを抜こうとするとアジャスターの外側がシャフトのアタマに引っ張られ、アジャスターが“ハの字”に開いてしまうことがありました。どうやらその作業を何度か繰り返しているうちにチェーンアジャスターが変形してしまい、その結果、アジャスターが歪み穴位置がズレてしまったようなのです。

 


よく見ればその裏側、ホイール側もカラー(写真一番右)の径に合わせて凹んでしまっていました。


こちらは車体右側のチェーンアジャスターで、[左]が新品、[右]が使用していたモノ。

車体右側のチェーンアジャスターには外側に2mm厚(Φ27mm)のワッシャーが入り、セルフロックナットで締結しますが、アジャスターのプレート部分とワッシャーはナットの締め付けによりやや円錐状に変形してしまっていました。


さて、ここで質問ですが、皆さんはSRのリアのアクスルシャフトを固定するM16ナットをどれくらいのチカラで締めていますか? これまで10年間、僕は締付トルクなど調べたこともなく“なんとなくガッチリ”締めていました。しかも基本マフラーも外さずモンキーでの作業…。


ふと、少し前にもう少し丁寧に作業してみようとサービスマニュアルでSRのリアホイールのアクスルナットの締付トルクを調べると……なんと129Nm=12.9キロ!! 知り合いのタイヤ屋さんや旧車屋さん、普段SRをあまり整備しないメカニックの方々は揃って「そんなに締めるんですか!?」と驚いた驚異的な数値でした。


そこで最初の写真に戻るワケですが……これまで数え切れない回数の脱着を繰り返しているリアホイールですが、そのうち正しい締付トルクでリアホイールのアクスルナットを締めたのはここ5回ほど。いつ頃からチェーンアジャスターのプレート部が凹み始めたのか定かじゃありませんが、少なからずモンキーで締めていた頃の締付トルクは手や腕の感触から明らかに12.9キロ以下だったこと、またアクスルシャフトが抜けにくくなったのはここ4〜5回? なんて(やや曖昧ですが)記憶を遡ると、なんだか12.9キロの締付トルクはちと締め過ぎ!? なんて疑う気持ちが出てきてしまうのです。

とはいえ、大した整備経験があるワケじゃない僕がメーカーの締付トルクを疑うのもお門違い。参考までに編集部にある他車種サービスマニュアルのリアホイール・アクスルナットの締付トルクを調べると……

・1977 Kawasaki KZ1000=10〜14キロ
・1985 YAMAHA TZ250=10〜13キロ
・2000 Kawasaki W650=10キロ

それぞれ時代や排気量、気筒数等の違いがあるとはいえ、どのモデルも基本的に10キロ以上。やはり締め過ぎと考えたのは僕の勝手な思い込みか……なんて思っていたのですが……


この写真をご覧ください。チェーンアジャスターを新品に交換後、リアホイールをメーカー指定の締付トルクで組み付け2日走行後の状態。もうすでにうっすらとアクスルシャフトのアタマの径に沿って凹みが出来始めていました。このチェーンアジャスター、車体左側が¥990右側が¥1,364。さほど高価ではないとはいえ、こんな短期間でこうした状態になってしまうと思うと……よく脱着する整備箇所として、はたまた工業製品として、はたしてコレは正しい状態なのだろうか!? ……と考えてしまうワケです。


そこで、最初に紹介したSRのリアホイール・アクスルナット3兄弟に戻ります。

[左]1978〜1996までの回り止めコッターピンを使用するキャッスルナット
[中]1997〜2003までのフランジ付きセルフロックナット
[右]2004(2001)〜からのセルフロックナット+ワッシャー

ちなみに、それぞれの時代のマニュアルで締付トルクを調べると……
[左]1978〜1996:キャッスルナット=締付トルク:8.3〜13kg・m
[中]1997〜2003:フランジ付きセルフロックナット=締付トルク:11kg・m
[右]2004(2001)〜:セルフロックナット+ワッシャー=締付トルク:12.9kg・m

まぁ、やっぱり10キロ以上では締めた方が良いのは確かなのですが……アクスルナット側はチェーンアジャスターだけじゃなくワッシャーも変形していたことを考えると……[写真中]のフランジ付きセルフロックナットの存在が気になるのです。そもそも1978年〜1996年までのキャッスルナットもフランジ付きだし……。


平ワッシャーの主な役割は、広い面積で締め付けることによる座面の安定や緩み止めですが、2004年以降のセルフロックナット+ワッシャーのワッシャーそのものが歪んでしまったことを考えると……どう見ても歪むことはなさそうな一体成型でしっかりとした厚みがあるフランジ付きナットが気になる……というワケです。

さらに!! フランジ部分(ワッシャー)の直径を比べると、[左]キャッスルナットのフランジ部分と[右]現行モデルのワッシャーの直径は27mmにもかかわらず、[中]のフランジ付きセルフロックナットのみ直径はなんと30mm!! おまけに30mmの直径はチェーンアジャスターのプレート部の径とほぼ同じ。締め付けによるアジャスタープレートの凹みのことも考えると……やっぱり「1997〜2003年までのフランジ付きセルフロックナットの一択じゃないか!!」となるワケです。

ところが!!

[左]1978〜1996年:キャッスルナット=価格:¥830(税別)
[中]1997〜2003年:フランジ付きセルフロックナット=価格:¥1,110(税別)
[右]2004(2001)〜:セルフロックナット+ワッシャー=価格:¥420+110(税別)

ありがたいことにどれもまだヤマハから購入できるのですが、コレしかない!! と思ったフランジ付きセルフロックナットは、なんと1,110円もするのです!! 現行モデルのセルフロックナット+ワッシャーの約2倍の価格。これはなかなかの違いであります。



さて、懸案の「一度締めただけで凹みが生じるチェーンアジャスター問題」。ちなみにサービスマニュアルには「磨耗していたら交換」等の記述はないため、そもそもチェーンアジャスターが凹むことは想定にないのかもしれません。

というわけで、機能的に問題ない程度であっても、そして見えない部分であってもチェーンアジャスターが凹むことは極力避けたい、と思う僕は両サイドのチェーンアジャスター脇に〈1997〜2003年までに使われていたフランジ付きセルフロックナット〉のフランジ部分と同じ直径30mm(チェーンアジャスターのプレート部とほぼ同じ!!)で、厚さも現行ワッシャーよりもぶ厚い3mm厚のワッシャーを加えることとしました。

唯一、気がかりは左側チェーンアジャスターのホイール側。ここには余計なワッシャーを挟むことはできないため我慢するしかありません。左右に3mm厚のワッシャーを組み込み締結後、ナットから飛び出たシャフトの長さを確認しましたが、これだけ余裕があればまず問題ないでしょう。というワケで、アジャスタープレートの保護はひとまずいいんじゃないでしょうか?


とはいえ10キロ以上締められるトルクレンチなんてそうそう持っているモノじゃありませんし、律儀に規定トルクで締めましょう……なんてハナシでもありません。実際、僕も9年間はマフラーすら外さずにモンキーでの作業でしたしね。一度、チェーンアジャスターやワッシャーの摩耗具合を確認し、各パーツを新品にした際には新たにワッシャーを追加するのもオススメ……なんて話です。


……と言いつつ、今回実際に見比べるために3種類のアクスルナットを購入したため、いずれナット側は3mm厚のワッシャーをやめて最高級のフランジ付きセルフロックナットに交換するつもり(笑)

 

一度も組み立てられることなくアメリカで発見された1981年SR500。


11月頭に海外でニュースになっていた「アメリカで一度も組み立てられることなく発見されたSR500」。年式は1981年でモデル名はSR500H。

しかしオートバイがこうして輸出されている(いた!?)とは知りませんでした。そんな状態も含めちょっと見たことがない写真ばかりでしたのでオークションサイトより拝借し紹介します。


SR500と刻印された発泡スチロールだけでも欲しい……。


ハンドルにミラーにケーブル、そしてメーター等は上部の発泡スチロールに収められているんですね。


箱の中とはいえ保管状態もよかったのでしょうね。塗装もメッキもタイヤも!? 輝いております。


当時のシールドビームならではの丸みのあるヘッドライトの凸レンズ、うっとりします。タイヤはまさかのマグモーパスでしょうか!?!?


フロントフェンダーはリアタイヤの上に収納。ほうほう、ナルホド。しかしサビの一つも浮いていないエンジン周辺のアルミ部品も惚れ惚れしますね〜。


輸出モデルならではのカラーリング、グレーにゴールドのラインもまた良い雰囲気。

 

初めて見たSRのマイル表示メーター。キャブ時代のSRに乗っていたら間違いなくebayで探してますね。

なんでも2022年にラスベガスのオークションに出品されるとのことですが、一体いくらくらいになるのでしょうか? ぜひヤマハさんが落札し磐田のコミュニケーションプラザに展示されてほしいものです。

発表から数日で約6000台もの予約!? SRファイナルモデル。

ヤマハさんのサイトに掲載されていましたが、今年でSR生産終了のアナウンスが流れてから発表された2021年モデルは、なんと約6000台もの予約が入ったそうです。ちなみに43年間での累計生産台数はおよそ12万台!!


年代別の購買層がこちら。一時期よりも40代以上の“オトナ世代”が増えているのが、SRが持つ懐の深い魅力を物語っている気がしますね〜。

 

ストバイでも別冊「大人のSR」でも、しつこいくらい何度も書いてきましたが、とにかく2019年以降に刷新されたFIのフィーリングは、FI第一世代のSR乗りとしても嫉妬してしまうほど、もうほんとに最高なんです。スロットルの明け初めから「まるでツイン!? 」と感じてしまうほど、チカラ強く粘る低中速のトルクフィーリングは、これまでのSRとはハッキリ言って別物。でも、しっかり単気筒ならではの気持ちいい鼓動感は伝えてくる……「一度はSR乗っておきたいんだよなぁ」なんて方は、もはやキャブかFIかで迷ってる場合じゃありませんよ!

 


かくゆう私は、最新モデルに嫉妬してしまうFI第一世代のSR乗り。現在、500cc化して楽しく乗っていますが、最新のECUが搭載された現行SR400を500ccにして燃調を整えたらどうなるだろう? と思うと……乗り換えたくなるほどです、ホント。

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