久しぶりのムック「KAWASAKI MEGURO K3」が3月24日に発売になりました。
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昨年11月に発表されたカワサキMEGURO K3。「おおっメグロ!?」と旧車ファンほど驚いた新型モデルでしたが、フタを開ければ「あれ? W800!?」と拍子抜けしたヒトも多かったと思います。正直、僕らも同じ気持ちでした。
でもじつはこの落胆(カワサキさんスミマセン!!)から今回のムック企画はスタートしました。「カワサキがこんな安易なことをするハズはない!?」と思い、それからカワサキWシリーズ、そしてWシリーズの先祖でもあるメグロKシリーズまでの歴史をあらためて振り返りました。
そして出てきた一つの重要な事実……それはW1誕生前の1965年にじつはお蔵入りになったあるペーパープロジェクトの存在。その名は「K3(ケースリー)プロジェクト」。K3!? ケースリー!? そう、それはなんとMEGURO K3の“K3(ケースリー)”です。
目黒製作所がW1のルーツでもあるメグロ・スタミナK1を発売したのが1960年。その後、川崎航空機との業務提携→吸収合併を経て1965年にK1改良型として登場したのがカワサキ500メグロK2、そして翌’66年にK2のさらなる改良型としてW1が誕生した……これが一般的に知られている歴史です。ところがさらに掘り下げると……W1誕生前にカワサキ、メグロ両技術者たちの間で企画されていたのが、高出力・高回転型を狙ったOHC並列2気筒のまったく新しい独自のエンジン……「K3」だった!? というのです。
あらゆる事情が重なり残念ながら実現しえなかった計画だったのですが、いま振り返るとこの「K3」ってつまり’99年のW650(ベベルギアを採用したSOHC2気筒)だったんじゃないの!? ……な〜んて憶測を巡らせてしまったのでした。僕らのアタマの中では勝手に1960年から2020年までの60年間が一本の線で繋がった瞬間でした。
以来、メグロK3の見え方が変わったのは言うまでもありません。
本誌のテーマは「カワサキWに継承されたメグロ・スピリットとは!?」
果たしてMEGURO K3の誕生は必然だったのでしょうか!? 60年越しの悲願の成就だったのでしょうか!?
そんなことに想いを巡らせながら「カワサキW」についてあれこれとじっくり考えてみませんか? “乗らない時間の趣味タイム”じゃありませんが、系譜を追うだけではない歴史考察……そんなことを本誌と一緒に楽しんでもらえたら幸いであります。