[SR500F.I.]サイドスタンド・スイッチのキャンセル。

サイドスタンドスイッチ&配線を取り外した状態。ブログを読み進めれば分かりますが、先端のカプラーは切断しています。

SR乗りの皆さん、サイドスタンド・スイッチをご存知でしょうか? いわゆるサイドスタンドを出したまま、ギアを入れると強制的にエンジンがストップする、あのスイッチです。’90年代前半ぐらいから付いている(おそらく!?)この安全装置。幸い僕はサイドスタンドのしまい忘れがなかったおかげで、じつは納車から3年くらい経つまでスイッチの存在自体知りませんでした。

サイドスタンドが下りていない状態。スイッチのノブは飛び出したままです。

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サイドスタンドが下りている状態。スタンドの付け根がスイッチのノブを押すことで通電が遮断される仕組み。

スイッチ自体はサイドスタンド付け根の前方にあり、スタンドを下ろすと付け根がスイッチのノブを押し通電が遮断される仕組み……なんですが、ここ半年くらい「ちゃんとサイドスタンドを跳ね上げている」にも関わらず、ギアを入れるとエンジンがストップする……という状態が頻発するようになってきてました。


犯人はこーゆーこと。スイッチのノブ部分の潤滑不足かなんなのか!? つまりサイドスタンドを跳ね上げてもスイッチのノブが“戻らない”ことが原因。ちょっとしたことですが、エンジンを始動してさぁ発進! とギアを入れた瞬間にエンジンが停まるのはかなりのストレス。おまけにその都度センタースタンドを立ててスイッチのノブを手で引っ張り出さないといけないワケです。半年ほどたま〜に起こるとこの作業を繰り返していましたがもう限界!! というわけで、新品に交換してもいずれ同じことが起こるならと、スイッチ自体をキャンセルすることにしました。


スイッチの配線を辿ると、エアクリーナー・ボックス手前の配線が束ねられている場所で2本の配線がカプラーで繋がってました。まずはカプラーを外してスイッチを分解して構造の確認です。


スイッチのノブの可動部分は若干サビが出ていますね。指で押しても戻ったり戻らなかったり……雨天時の走行も考えると水の侵入も十分あり得る部分。錆が原因で動きが渋くなったのでしょうか? とはいえ、10年&約10万キロ走って初めてのトラブル……そう思うと消耗部品としては十分機能した部類でしょう。

スイッチのノブを押していない状態=サイドスタンドを下ろしていない時(走行時)=通電ON。

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スイッチのノブを押している状態=サイドスタンドを下ろしている時(停車時)=通電OFF。

構造はご覧のとおり。スイッチを押していない状態=サイドスタンドを跳ね上げている時=走行時は通電している状態。逆に、スイッチを押している状態=サイドスタンドを下ろしている時=停車時は通電が遮断される仕組みになっています。


マニュアルによると……エンジンが始動していてギアが噛み合っている状態(ニュートラル以外)でサイドスタンドを下ろすとエンジンが停止する「サイドスタンド・スイッチ」は、ニュートラル・スイッチサイドスタンド・スイッチ両方が“OFF”になると、イグニッションコイルから電流が流れず点火がカットされる仕組み……だそう。

サイドスタンド・スイッチの方は、文字通り“フタを開けてみれば”単純な構造&仕組み。つまりスイッチをキャンセルするには、つねにサイドスタンドを跳ね上げている状態=スイッチを押していない状態=通電状態=スイッチを介さず2本の配線を繋いでおけばいいわけです。


スイッチの可動部分はかなり錆てました。指で押しても動きが渋い。


というわけで、カプラーとある程度の長さの配線を残し切断。

そして結線。結線後、カプラーとともにコンパクトに収めたかったため今回はハンダで配線を繋ぎました。


配線を折り返しタイラップでまとめたらゴムカバーの中に収納して作業は終了!

相変わらず電気系には苦手意識があり、配線図なんて見たってチンプンカンプン……ですが、落ち着いて分解してみれば誰でも理解できる仕組みでホッとしました。多くのヒトも経験している超簡単な作業でしたが、また一つ知らなかったことを理解でき充実の達成感。

もうあのストレスとは永遠におさらばです!!

[SR500F.I.]インジェクションモデルの燃料タンクの内部構造。FIタンク→旧ナロータンク加工。

[左]1978〜’84年までの初期ナロータンク。[右]2010年のFIタンク。※形状は’85年以降と同じ。ちなみに容量は初期ナロータンク:12L、’85〜2008(キャブ):14L、2010〜(FI):12L(内部構造変更により容量減少)。

2010年にインジェクション化したSR400。外観はほぼ変わらないまま登場しましたが、キャブレターからインジェクションへの変更に伴い、じつは大きく変わったのが燃料タンクの内部構造でした。ずいぶん前にストバイ誌面で展開した記事ですが、今でもよく質問されることであり、あまりタンクの内部を見る機会もないと思いますので、当時の大工事の模様をあらためてご紹介。

奥がキャブレターモデルのガソリンタンクの下側。手前がFIモデルのガソリンタンクの下側。FI用のタンクには2本の燃料の“戻り”用の管と残量警告灯のセンサーの取り付け口、さらに前方には圧(エア)抜き用の丸い弁が追加されている。

つねに一定の圧力で燃料が噴射されるインジェクションは、燃料はタンク→フューエルポンプ→要求された必要な燃料をインジェクターから噴射→余分な燃料はタンクに戻る、という循環式。そのため、インジェクションモデルからタンクの中に2本の燃料“戻り”用の管が追加されました。その他には、手前に見える燃料コック用と似ている穴は残量警告灯センサーの取り付け口(燃料コックはこれまで通りの位置)、タンク前方には圧(エア)抜き用の丸い弁が追加されました。FIの場合、圧力とともに燃料が戻ってくるため、従来のタンクキャンプでのエア抜きだけでは足りなかったんでしょう。


もう一度“分割前”に戻りますが、上から見るとキャブレター時代(’85〜’08)と変わらない形状でしたが、裏から見ると色々と追加されているのが分かります。中身を見た後だと追加されたそれぞれの意味がよく分かります。ちなみにFIモデルからタンク裏側のオイルタンクを兼ねたバックボーンと接する部分に断熱材が追加されました。FI乗りの方はピーンとくるかもしれませんが、圧力とともに燃料が循環しているため、長時間走行していると、外から触っても分かるほどじつはタンク内のガソリンの温度は高くなっています。断熱材の追加はその熱がオイルタンクに影響を与えないための配慮。つまり「何だコレ取ってしまえ」はご法度です。

黒と赤のタンクが混ざってますが、FIモデルが発売されたばかりの当時、加工をお願いしたBRAT STYLEさんにはヤマハヨーロッパからのカスタム依頼もあったため、同時にふたつの純正FIタンクを分割しておりました。

さて、また“分割後”ですが、こちらはタンクの上下を分割した“上側”。つまり左の初期ナロータンクの“上側”とFIタンク“下側”を組み合わせるというカスタムです。
まずは初期型と幅/長さが異なる燃料コックをFIタンクから初期ナロータンクに移設。



全体の溶接前がこちら。


まるで純正タンクのように見せたかったため、できる限り“リブ”を残して欲しいとオーダーしましたが、薄い鉄板の溶接でリブを残すのは至難の技。「多少、波打っちゃうよ」と言いながらも、キレイに仕上げてくれたブラットスタイル高嶺さんの技術の高さは相当なモノ。現在、東京・赤羽とアメリカ・カリフォルニアに店舗を持つBRAT STYLE。レーシーでワイルドな雰囲気に目がいきがちですが、細部にわたる丁寧な仕上げは職人の領域です。


[左]加工前の2010年式“FI”タンク。[右]初期ナロータンクの“上”とFIタンクの“下”が合体し塗装も終了した状態。

「ヤマハが発売したような純正感」がテーマでしたので、塗装の色合いは2010年式の純正カラーを採用。ペイント作業はメーカー純正カラーの塗料を数多く揃える浜松第一塗装さんでお願いしました。見てくださいこのメタリック感、ほんと純正に負けないクオリティです。



というわけで、無事、自然にナロータンクを付けたFIモデルになったワケです。あれから9年くらい経つでしょうか? おかげさまで加工した部分の破損も塗装の劣化もありません。

セニアな先輩方と走ると楽しいなぁ。


気がつけば、今年はまだ2月だってのに、日中は春にツーリングしている気分にもなれますね。朝から青空が広がった連休最終日の月曜日、この日はYASのW1仲間の“セニア”な先輩の方々とツーリング。「発起人がNさんだから今回も地図に載らないようなクネクネ道ツーのはず」……と予想し、KZ1000ではなくSR500で出発。

待ち合わせは9時大磯。やや遅刻気味で急いでいたら第三京浜・港北辺りであずきのW3を発見。近々YASブログでも報告があるかと思いますが、前日ポイントをバッチリ調整したW3は「えらい気持ちいい」そうで、第3京浜〜横浜新道〜国道一号〜西湘バイパスと、500シングル650ツイントルクで走る心地良いペースで大磯に向かいました。大昔のイギリスでも500シングルと650ツインがしょっちゅう一緒に走っていたんだろうなぁ…。


大磯にてブリジストンに乗る主宰Nさんを筆頭に計9台が集合。ツーリングスタートです。

小田原城横にある小学校は校舎の雰囲気も色合いがお城風? 一見学校に見えない小学校でした。


晴天の連休を忘れるほどクルマのいない快走ルートを繋ぎ合わせ、小一時間ほど走り「もう少ししたら休憩したいなぁ…」と頭をよぎる少し前にしっかり休憩を挟む、Nさんの素晴らしいツアコンぶりはもはや職人の領域!? 何十年も乗り続ける“セニア”ライダーならではの、道の熟知ぶりはほんと憧れます。東京から1〜2時間ほどの場所なのに「ずいぶん遠くにきたもんだ」と思わせてくれる最高のツーリング。

 


今日のお昼ご飯は「万葉うどん」。南足柄の山の中にポツンを現れるお店は開店すぐに満席になる人気ぶり。お店のオススメ&一番人気は“カレーうどん”でしたが、初めてのお店ではその店のスタンダードを食べたい派の僕は“湯うどん(¥500)”をチョイス。マイお箸を持っていくと大盛り無料とのことで、常連のセニアな先輩は皆マイお箸を持参。さすがです。麺つゆに輪切りのレモンが入る粋な“湯うどん”は、喉ごし抜群で腹持ちもいい、ツーリングに最高のご飯でした。夏場に食べるザルうどん(¥500)もゼッタイ美味いだろうなぁ。


昨年秋に制作したムック本「大人のSR」の取材でも、もう一人の熟練のセニアライダーの方にこの辺を案内してもらいましたが、足柄〜秦野周辺はかなり“深い”道がたくさんありますね。

群馬・伊勢崎から参加のセニアライダーNさん。W3の他にCB750/CB450等も楽しむベテランで、ストバイ時代から取材でもお世話になっております。いつもストバイ ・タンクバッグ&サイドバッグのご愛用ありがとうございます!!


お腹が満たされたところで記念撮影。今はスマホでもタイマー撮影できる時代。うっかりしてると、旧車のことのように最新スマホ機能についても教えてもらう始末。知識と経験は50〜60代元気と好奇心は20〜30代セニアな先輩達……もはや最強!?

 

先導Nさんの後ろを走り撮ってもらいました。どーでもいい情報ですが、後頭部がでこぼこのため、正面から見るといつもヘルメットが少し斜めを向いてしまいます。


濃い青空をバックに満開の梅を楽しめるのは冬が終わらない今頃の魅力ですね。最後の休憩地は源実篤の首塚がある!? という道の駅。話題は梅や桜の話から歴史まで……皆さんオートバイ以外の雑学(!?)にもこれまた詳しい! 最後にまた記念撮影し、向かうはYASもしょっちゅうお世話になっているW1工房厚木基地。


久しぶりに顔を出すと天高くそびえる“カワサキ”の看板!! 青空に映えるその凛々しさは満開の梅以上であります。


アメリカ輸出は不振に終わったW1シリーズですが、’68年当時、さぞカリフォルニアの青空の下でもメッキタンクのW1Sは輝いていたんだろうなぁ。


この日も一台のW1Sが不調から復活。

次から次へとW1仲間も集まり夕暮れまで楽しくのんびり過ごさせてもらいました! いつもありがとうございます。いやぁ正味5〜6時間でしょうか!? 身も心もお腹いっぱいの大満足ツーリングでした。Nさん、またご教授お願いいたします!!

※写真も一部、Nさんから拝借しております。

 

[オマケ]


こちら、ツーリングも一緒だったIさんのW1S。帆布オリーブドラブのLONG TOURタンクバッグのLサイズを愛用してもらっています。丸いフォルムがW1Sタンクにも似合っていて嬉しくなりますね。ありがとうございます。

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